毒親に育てられた31歳女性が、恋愛で“どうしてもできなかったこと”。母親の呪縛は恐ろしい
こんにちは。これまで3000人以上の男女の相談に乗ってきた、恋愛・婚活コンサルタントの菊乃です。近年、婚活に踏み出すこと自体が当たり前の選択肢ではなく、“ぜいたく品”になりつつあると感じることがあります。
「結婚したくないわけではないけれど、絶対に子どもは産みたくない」と語る女性・茜さん(仮名・31歳/関東在住)は毒親育ちで、教師になることを強制され教育虐待を受けてきました。彼女は成人してからADHD(注意欠如・多動性障害)と診断され、29歳から障害者雇用で働き始めますが、母親は「障がい者のふりなんてやめたら?」「低所得の仕事」と娘を罵倒します。
少し前のデータですが、障がい者に焦点を当てた内閣府の調査「障害者白書 平成25年度版」によると、身体障がい者で配偶者がいる人は60.2%と健常者の57.4%(統計局「平成27年 国勢調査」による)に比べても若干多かったものの、精神障がい者では34.6%、知的障がい者ではわずか2.3%でした。
障がい者向けマッチングアプリIRODORI(いろどり/@irodori_info)の開発者・結城伊澄さんは、障がい者にとっては「障がいを打ち明ける不安」が、新しい出会いの最大のハードルになると話していました。
障がいをあらかじめ開示して出会えるマッチングアプリは、救世主になるのでしょうか。
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IRODORIでは恋人だけでなく、友達や仲間探しをすることもできます。はじめは障がいがあることを話せる仲間が欲しくて、IRODORIに登録した茜さん。やがて「子どもはいらない」「カフェ巡りが好き」という共通点がある相手とマッチングします。大輔さん(仮名)という男性で、彼はASD(自閉スペクトラム症)でした。
3回目のデートで告白され、交際することになりました。大輔さんはそれまで一度も女性と付き合ったことがなく、茜さんが初めての恋人でした。
一緒にカフェに行ったり食事をしたりして、楽しい時間を過ごしていたふたり。しかし、ASDの方に多い特性の一つであるこだわりの強さから、徐々に意思疎通が難しいと思う場面も増えてきます。
「次はこのカフェに行こう」と約束していたのに、大輔さんは会ったら約束とは違う行動を取ろうとします。彼は一度何かやりたいと思い始めると、茜さんが「はじめの予定と違うよ」と伝えてもそれを受け入れることが難しいのです。
「親から『なんでこういうことをするの』『これはやめなさい』とずっと怒鳴られて育った私は、彼に対して『なぜ?』と思うことがあっても、言い出しにくかったです。
彼を責めているわけじゃなく、話し合いたくて単純な疑問で『どうして○○なの?』と言いたいだけなのに、それも言えませんでした」(茜さん、以下「」内同)
大輔さんは当時、就労移行支援(障がいのある人を対象とした職業訓練のサービス)を受けて自分の適職を探しているタイミングでした。大輔さんはそこでパソコン操作を習った際、茜さんへ「清掃とかやっているんでしょ。パソコンも使えるようになった方がいいんじゃないの」と、「上からアドバイスをしてきた」そうです。
茜さんは大学でもパソコンを使っており、パソコンを使う仕事をしていたこともあります。それを伝えると大輔さんは「芸術大学を出てるならスキルを活かしなよ」とまた別のアドバイスをしてきます。