「それはLINEの画面でした。突然、見せられたので内容が理解できなかったのですが、よくよく読んでみると、どうやら広彦さんの母親とのやり取りだったんです」
親とLINEすることは何ら悪いことではありません。里美さんがじっくりとそのやり取りを読んでみると、デート中の息子に対しての行動指示書のような内容だったのです。

※彼と母親のやり取りを再現したLINE
「もう、びっくりしちゃいました。しかも、リアルタイムだったんですよ。
その場で、母親に報告して、『こうしなさい』『ああしなさい』って指示をもらってたんです」
広彦さんはあろうことか、悪びれる様子は微塵も見せず、それどころか、自慢げに「ママはやっぱりすごいなー 何でも知ってるなー」などと言っていたそうです。
「もうがっかりでした……どうして30歳も過ぎた大の大人の男が、母親にデートの指示を仰がなきゃいけないんですか?」
本当なら今すぐ席を立って立ち去りたかった里美さんでしたが、紹介してくれた先輩の顔を立てるために、なんとかぐっと堪えました。そして、地獄のようなデートを終え、ぐったりして帰途についた里美さん。
「結局、広彦さんはデートをしている間、スマホを片時も手放さず、逐一母親に報告していたみたいです。そんなことに応じる母親も母親ですよ。いったい何を考えてるんでしょうか? まったく理解ができません」
後日、先輩に一報を入れて、広彦さんとは距離を置いたそうです。世の中には様々な親子関係があるものです。
<文/浅川玲奈>
浅川玲奈
平安京で生まれ江戸で育ったアラサー文学少女、と自分で言ってしまう婚活マニア。最近の日課は近所の雑貨店で買ってきたサボテンの観察。シアワセになりたいがクチぐせ。