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「ジャニー氏性加害は憶測」断言した山下達郎フジロック出演に違和感!フェス現場の聴衆も問われる“ロック精神”

 7月25~27日に開催されるフジロックフェスティバルに山下達郎が出演することが発表されました。多くのロックファンが盛り上がる一方で、疑問の声もあがっています。
「オフィシャル・バンドスコア 山下達郎 / 40th Anniversary Score Book Vol.2 」ドレミ楽譜出版社

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 旧ジャニーズ事務所における故・ジャニー喜多川氏による性加害問題に関する達郎氏の過去の発言が再びクローズアップされているからです。

ジャニー氏性加害を「憶測」、批判するのであれば「私の音楽は不要でしょう」

 疑問の声の理由は、2023年7月9日放送の『山下達郎のサンデー・ソングブック』(TOKYO FM)の中で、喜多川氏の性加害が根拠のないウワサに基づく「憶測」だと断言したこと。  さらには、自身と喜多川氏、そして旧ジャニーズ事務所との関係を「御恩と御縁」と称し、喜多川氏をリスペクトする姿勢を「忖度、あるいは長いものに巻かれているとそのように解釈されるのであれば、それでも構いません。きっとそういう方々には私の音楽は不要でしょう」と啖呵(たんか)まで切ってみせたことです。  重大な人権侵害問題に対するこうした達郎氏の姿勢は当時も大きな物議をかもしましたが、今回のフジロック参戦によって、達郎氏のみならず、オファーをしたフジロック側の見識も問われる事態になっているのです。

ロックの精神性を体現してきたフジロック

 大前提として、山下達郎がなにか法に触れる事件を起こしたわけでも、スキャンダルに巻き込まれたわけでもありません。なので、出演すること自体には全く何の問題もありません。  しかしながら、フジロックの歴史を踏まえると、ただ音楽を楽しむという大義名分のためだけに、このまますんなりと山下達郎を迎え入れることが良いことなのかどうか。そんなモヤモヤが残ってしまうのも事実です。 フジロックフェス2025 なぜなら、フジロックには東日本大震災によって引き起こされた福島第一原発事故をきっかけに、脱原発イベント「アトミック・カフェ」を復活させたり、またYMOや加藤登紀子、斉藤和義といったミュージシャンがメッセージを発する機会を積極的に設けてきたりした歴史があるからです。  つまり、社会問題に対する意思、政治的な態度をそのつど表明することで、“ロック”の精神性を体現してきたのですね。
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ジャニー氏の才覚優先と言い切った達郎を看板にする意味とは?
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