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中村アン(37歳)が明かす“35歳あたりから思い始めたこと” 「仕事を一番に優先してきたけれど…」

バリキャリの役柄が多かった

『連続ドラマW 災』©︎WOWOW――仕事ばかりの毎日にならないようにと気をつけたいと言われていましたが、このドラマ出演がなければ気づかなかった視点でしたか? 中村:今回の作品のキャラクター発表の記事などを目にしたときに「あ、わたしもだ!」って、改めて自分もそうかなと思ったんです。「ストイックだね」とよく言われるのですが、作品にまっすぐ向き合っているだけで、自分自身にはそういう自覚があまりないんです(笑)。 20代の頃は活動をする上で自分をもっと知ってもらうために、仕事を一番に考えて歩んでいたなあと、この作品と出会って思いました。振り返ってみると、そういう(仕事人間の)役柄が多かったですね。海上保安庁、空港の管制官、外務省、医者……バリキャリの役柄が多かった(笑)。自分自身のことは意外とわかっていなかったけれど、そういう役をいただくということは、わたし自身にそういう要素があったからなのかもと、ふと気づきました。 ――数々の作品の中での中村さんの印象的だったキャラクターは、ご自身が役を引き寄せていた感覚なんですね。 中村:そうですね。なんとなくですが、そう感じることもあります。わたし自身も自分が共感できる役柄を演じたいと思っているので、そういう引き寄せは自然にあったのかもしれません。

気づいたら「仕事しかしていないぞ」は、ちょっと寂しい

中村アン――その気づきを踏まえて、今はどうバランスを取っているのですか? 中村:仕事を一番に考え優先してきたので、35歳あたりからですかね。自分と向き合う時間もできて、趣味などもないので、仕事以外も楽しんでいかなければ、と思うようになりました。遅いのかもしれませんが(笑)、そういうことをなんとなく感じ始めたのには、年齢だけでなく、コロナ禍の影響もあったかもしれないです。 部屋の中で楽しむ、家の中を見渡す、自炊をする……。基本的なことにようやく目を向け始めた。それまでは働いて帰って寝て、たまに遊ぶくらいでしたが、重きを置いているところが変わってきた感じはします。気づいたら「仕事しかしていないぞ」は、ちょっと寂しいなみたいな。 ――コロナ禍に関係なく、きちんと日常を送ることでお芝居が楽しくなってきたと感じる俳優の方は少なくないですよね。 中村:そうなんですよね。そういうインタビュー記事をよく拝見していると、ようやくわたしもそういうことがわかるようになったなと思います。お芝居を始めて10年くらい経ち、メリハリがあったほうがいいとようやく感じます。忙しいとよくわからなくなって、日常のありがたみを感じられないままになる。ちゃんと意味を理解して丁寧に日常を送ると、そのありがたみも、お芝居の楽しさもわかるような気がしています。 ――俳優としては今後、どういう作品に挑戦したいですか? 中村:自由度が高く、今回のような作品に出逢えていけたら嬉しいです。 中村アン<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>
トキタタカシ
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。
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