では他に決定的な理由があるのかと聞かれたら、これはよくわからないというのが正直なところ。でもひとつ確かなのは、坂口健太郎には、(彼のことで)頭をいっぱいにさせる才能があることである。
坂口健太郎のことを考える。どんどん考える。これが、メロメロのドツボ。気づけば、彼のことで頭がいっぱいになっている。このメロメロ才能。たぶん日本人ファンも韓国人ファンも共通してメロメロになる。
韓国の動画配信サービスである「Coupang Play」オリジナルドラマ『愛のあとにくるもの』(2024年)に印象的な場面がある。第1話で韓国から日本に来たチェ・ホン(イ・セヨン)と日本の大学生・青木潤吾(坂口健太郎)がラーメン屋の前で再会する。ほとんどカメラ目線でホンの方を見つめる坂口の正面を捉えたショットがスリーショット切り返される。これはもう確信犯的なメロメロを供給する切り返しだった。
世界的スターたちとの交友から“ジワジワ”アジア全域へ
日韓両用のメロメロ才能を本丸にしながら、韓国の世界的スターたちとの交友によって外堀をうめる。『2023 Kentaro Sakaguchi Fanmeeting in Korea』に届けられた祝い花の中には、世界的K-POPグループBTSのメンバー、J-HOPEからのものが含まれていた。
ファンミーティング前年には、『2022 MAMA AWARDS』授賞式でAlbum of theYearプレゼンターを務めた坂口が、J-HOPEと3年ぶりの再会を果たし、彼と撮ったツーショットが話題になった。
坂口の公式Instagramにそのツーショットを「久しぶりに」というキャプション付きで投稿すると、J-HOPEがいいねを押して、ファンが歓喜したのである。韓国ドラマのリメイク作である坂口主演ドラマ『シグナル 長期未解決事件捜査班』(関西テレビ・フジテレビ系、2018年)主題歌「Don’t Leave Me」、そして劇場版『劇場版シグナル 長期未解決事件捜査班』(2021年)主題歌「Film out」をBTSが担当して以来の関係性である。
他にもK-POPグループ BLACKPINK リサが、TikTokに坂口とのダンス動画(2025年3月20日投稿)を投稿したり、ENHYPENとのコラボレーションなど、SNS上を賑わせる坂口が、いかにアジア全域から支持されているかがわかる。
あるいは付け加えて、今年で20回目の開催を迎えた大阪アジアン映画祭クロージング作品として上映された(第18回)『サイド バイ サイド 隣にいる人』(2023年)の坂口は、冒頭2カットの表情だけで全世界へメロメロを訴求、供給する力があると指摘しておきたい。今回より広いアジア地域でのファンミーティング開催を発表した坂口健太郎は、自前のメロメロ才能の触手をしなやかにのばしながら、ジワジワアジア全域へ、そのスター性をとどろかせている。
<文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修
俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:
@1895cu