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36歳LDH俳優のロン毛姿は“胡散臭さ”に注目。「見慣れない」の声もあるけど…実は過去作でも

胡散臭いロングヘアーの魅力

 痛快なスイングを決めた鳴木はどこか上方を見つめながら「もっと稼げる方法を見つけたんだ」と言う。退職する口実がこのモップ事件なのだ。院長・天童真保(篠原涼子)を中心にした聞き取り調査の場で、馬場によるパワハラの証拠を即席で立証。しっかり退職金をもらってさっさと病院を後にする。  現在、職を変えた鳴木は医者専門の転職エージェントであるDr.コネクション代表になった。清潔なオフィスには鳴木と事務スタッフ・夜長亜季(蒔田彩珠)しかいないが、依頼はたくさんあって売上は軽く億を超える。でも何か胡散臭い感じもするのは、元医者としてエージェントになった鳴木の特徴的なロングヘアーによるものだろうか?  岩田剛典がロングヘアーのキャラクターを演じるのは本作が初めてではない。映画作品だと『新解釈・三國志』や『聖☆おにいさん THE MOVIE〜ホーリーメン VS 悪魔軍団〜』(2024年、以下、『聖☆おにいさん THE MOVIE』)、配信作品だと『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』(Netflix、2023年)などなど、福田雄一監督作品ばかり。  しかも、作品を追うごとに演じるキャラクターとしての胡散臭い魅力がどんどん醸されるようになった。

福田雄一監督作品間で共鳴

 ギャグセンス満載の福田監督作では、どんな俳優でもエキセントリックな三枚目を体現しなければならず、その誰もが何かしら装飾的なカツラを装着してビジュアル的にもコミカルな役割を担う。  すでに福田組常連俳優といっていい岩田は、『新解釈・三國志』趙雲役→『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』王子様役→『聖☆おにいさん THE MOVIE』ミカエル役の順番でコメディ俳優としても開眼しつつある。  福田作品初出演となった『新解釈・三國志』で演じた超ナルシストな趙雲役は、コミカルで胡散臭く、でもとびきり端麗でカッコいいキャラのイメージが新鮮だった。岩田が髪を後ろで結ぶロングヘアーの原点ともいえるこの趙雲役が初登場する場面に、鳴木がモップでスイングしたあとのように独特の間合いで上方を見つめる印象的な表情があったことを思い出した。 『DOCTOR PRICE』第2話冒頭に鳴木が打ち合わせ中だというのに自分のペースでゆっくりアッサムティーを味わう場面があるが、やや長いワンショット中で岩田が喉を動かす瞬間が見逃せない。同様に趙雲役も「モテる上に」というセリフ中に上方を見つめ続けるその持続に耐えきれなくなったのか、もはや役柄を超えたて岩田本人が喉を動かす生々しい感じがあった。  いわば、この動きがロングヘアー役の原点的動作なのだとすると、ロングヘアー役の原点と主演最新作のエキセントリックなロングヘアー役が作品間で共鳴する。岩田剛典がロングヘアーというビジュアルを見慣れない人もいるようだが、この共鳴に気づけば『DOCTOR PRICE』でさらにケレン味あふれるロングヘアーにじわじわ魅了されるはずだ。 <文/加賀谷健>
加賀谷健
コラムニスト/アジア映画配給・宣伝プロデューサー/クラシック音楽監修 俳優の演技を独自視点で分析する“イケメン・サーチャー”として「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu
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