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エジプトの聖山で見た「神々しいご来光」——64カ国を旅した人気占い師が15年経っても忘れられない“心を揺さぶる山”

「日本だけではなく、海を越えた先にも心を揺さぶる山があります」。そう話すのは、『山の神様に会いに行く』の著者であり、国内外の山に多数登ってきた人気占い師・大串ノリコさん。 人々の祈りが込められた聖地、信仰と自然が調和する絶景など、どの山にもその土地ならではの信仰や文化が息づいています。ここでは、大串さんが実際に登った海外の山での忘れがたい体験を語っていただきました。

シナイ山(エジプト):モーセが神から十戒を授かった神聖な山

ゴツゴツとした険しい登山道を進んでいきます

 シナイ山は、エジプト東部にあるシナイ半島に位置する霊山で、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教の三大宗教にとって神聖な場所とされています。  この山が特別とされているのは、旧約聖書において、モーセが神から十戒を授かったとされる場所だから。アラビア語では「ジャバル・ムーサ(モーセの山)」と呼ばれています。古くから巡礼地として知られていて、現在も世界中から信仰を持つ人々が訪れます。  山の麓には6世紀に建てられた聖カタリナ修道院があり、世界最古の現役修道院としてユネスコの世界遺産にも登録されています。巡礼者の多くは、未明に登山を開始し、山頂からご来光に向かって祈りを捧げることで神様を感じようとします。

「神様はいる」という感覚に心が震えた

 15年前、美しい海が広がるエジプト・ダハブの町から、聖なる山とされるシナイ山に登りました。旅人たちの多くはダイビングの資格を取ったり、ビーチリゾートでのんびり過ごしたりしていましたが、山が好きな私は、迷いなくこの山へと足を運びました。  登山は深夜に始まります。ヘッドライトの明かりを頼りに、一歩ずつ暗闇を登っていきます。砂漠の山らしく道は乾いており、ごつごつとした岩肌が続きます。標高は2285メートル。寒さと眠気、そして静寂の中、自分自身と向き合う時間が流れていきました。  やがて夜が明け、頂上からご来光を迎える瞬間。太陽が東の空を染め、冷たい岩山が次第にオレンジ色の光をまとい始めました。厳しく荒々しい山肌が、その瞬間だけは優しく柔らかく見えたのを今でも覚えています。心が震えました。神様はいる、という感覚。

ご来光の神々しい光に思わず息をのみました

 そのとき、近くにいたグループが讃美歌のような歌を歌い出しました。言葉はわからなくても、その旋律は澄んでいて、なにかを感じられるものでした。  山で神聖な存在を感じることはこれまでにもありましたが、シナイ山での体験はその中でも特別なもののひとつ。15年たった今でも忘れがたい記憶です。
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エベレスト街道(ネパール):古くから人々の信仰厚い祈りの道
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