エベレスト街道(ネパール):古くから人々の信仰厚い祈りの道

標高4800mあたりの景色。既に迫力満点です
カラパタールはネパールのクーンブ地方にある標高5545mの山。直線距離約10kmの間近に世界最高峰のエベレストが広がる大展望地でもあります。
カラパタールとは、ネパール語とヒンディー語で「黒い岩」という意味。その名の通り、山肌は黒っぽい岩で覆われています。そのカラパタールやエベレストのベースキャンプに至る道が、エベレスト街道です。
道中には、最大のチベット仏教寺院であるテンボチェ僧院があり、そこは多くの巡礼者や登山者、修行僧が集う祈りの場所です。
それ以外にも、道の途中にはマニ車、旗、梵字(ぼんじ)などがあり、エベレスト街道が単なる登山道ではなく、信仰の厚い祈りの道でもあることを肌で感じられます。
標高5545mのカラパタールまでは、ネパールのエベレスト街道を歩き、12日間かけて登ったことがあります。
エベレストは「サガルマータ(大空の頭)」と呼ばれ、ネパールでは天と地をつなぐ神聖な存在。シェルパ族にとっては神が宿る信仰の山であり、登山前には必ずラマ僧による祈願が行われるそうです。

途中で泊まった山小屋は意外と快適でした
エベレスト登頂には数百万円の費用と入念な準備が必要ですが、カラパタールを目指す旅は、時間さえかければ誰でも挑戦できます。費用も比較的安く抑えられ、意外なことに山小屋のレベルも高く、ごはんもおいしい。ダルバートやモモなど、毎日の食事が楽しみでした。
なにより素晴らしかったのは、日々変わる絶景の連続。朝日に染まるヒマラヤ、氷河を越える道、満天の星……どれも言葉を失う美しさでした。高山病には最後の最後で苦しみましたが、カラパタールから見たエベレストのご来光は、それまでの疲れをすべて癒やすような神々しさでした。
この旅は、信仰と自然と人の力が共鳴する、まさに“祈りの道”。64カ国を回りましたが、そのなかでいちばん感動したものをあげるとすると、まずこのエベレスト街道が出てくるほど印象的な経験でした。
<構成/女子SPA!編集部>