SNS時代はスマホのアプリを開けば、一瞬で世界と繋がることができる。大所帯のテレビカメラを持ち込んでわざわざ中継する必要もないが、ミラノ滞在中の渡辺翔太に独占密着した『めざましテレビ』(フジテレビ系)のテレビカメラだって、それはそれでいい画面を捉えてくれる。
洗練された風情のブレラ地区を歩く。異国の風、空気、温度。それらが「どこ歩いてもどこ見ても絵になる」と言う渡辺の歩調ととけ合う。
その国を知るには名物料理を食べたらいい。ミラノ中央駅から徒歩圏内のアンティカ・オステリア・カヴァッリーニに入店。ポルチーニ茸のタリオリーニをくるくるフォークに巻き付けるしょっぴー(渡辺翔太の愛称)。「いただきます」がいい表情。
ミラノが州都のロンバルディア州を代表するスプマンテ、フランチャコルタ(イタリアの高級スパークリングワイン)があればなお最高だった。ロンバルディアは臭いチーズの代名詞ゴルゴンゾーラ発祥の村があったりもするが、北イタリアの食文化を堪能して、食欲が異国の地への好奇心に高まる。
渡辺翔太という魅力的な被写体は好奇心を働かせてどんな国でも溶け込んでいける。好奇心が異国を旅する醍醐味でもある。
イタリアだけではない。9月20日に放送された関東ローカルの30分番組『オーストリアに憧れて〜渡辺翔太 煌めきの旅路〜』(日本テレビ系)では、これまた好奇心モードのウィーン一人旅で視聴者を魅了した。アンバサダーを務めるスワロフスキーのスポンサー番組でもあり、旅先で触れるものすべてに目をきらきらさせた。
「世界一美しいカフェ」があるウィーン美術史博物館の入口前に立った渡辺が、実は入口ではなく出口だったという天然小ボケで楽しませる。一方で美術館に入る前、「是非行ってみよう」と意気込んでカメラに向ける決め顔が映える。
オーストリア皇帝フランツ=ヨーゼフ1世の皇后エリザベートも愛したザッハトルテ(オーストリアのチョコレートケーキ)を食べる場面では、逆に食べた後の表情が映える。入る前と食べた後。芸術の都に置かれたカメラがフレーミングする渡辺翔太は、映えまくりしょっぴーなのだ。
それでいて異国の風景に溶け込み過ぎない。自分の知らない異国に対するフラットな姿勢で客観的にリポートする。旅先の渡辺翔太はとにかくさりげない。だからいい表情で自然と映える。
Snow Man9人の旅を捉えた配信ドキュメンタリー『旅するSnow Man』(Disney+)第5話には目黒との京都二人旅が収められている。ハモ料理を食べた後の散歩道が、ミラノの夜の散歩道の空気感と共鳴する。
石のベンチに腰かけた渡辺が、「これが居心地のよさ」と表現して旅情の余韻にしていた。
<文/加賀谷健>