「帰省しませんがお年玉はPayPayでください」義妹からの集金LINEに呆然…正月からモヤモヤが止まらない!
「年始の自動引き落とし」のよう…効率化で消える“お年玉”の温度感
その言葉自体は配慮のようですが、要約すると『現金より送金が効率的なのでこちらで』という意味です。一見優しい言い回しにも聞こえますが、『気持ちより決済が最優先』と言われているように感じてしまいました」
柔らかいのに、逃げ道がない言い方です。現金ではなく「とにかくさっさと送金して」と念押しされたようで、胸の奥が静かに冷えたと言います。
りえさんにお年玉に対する本音を聞きました。
「お年玉といえば、久しぶりの成長に驚き、めったに会話をしない親戚の子と表面上でも気持ちを交わし、ポチ袋を手渡して笑い合う。そんな少し照れくさい時間ごと受け渡す文化だった気がします。それがキャッシュレスになると一気にごっそりなくなってしまうというか……。PayPayで送るのはいいんです。ただ、帰省もしないのに、リモートで請求されるとなると、“年始の自動引き落とし”みたいな感覚になってしまいます。儀式ではなく、まるでタスクみたいです」
「義妹さんにこう言われたけど、あなたも同意してるの?」
弟に尋ねると、返ってきたのは想定外の答えでした。
「すると弟は、『親が頭を下げずに済むし楽でいいじゃん(笑)。もしお願いできるなら助かるよ』と。うーん、便利で効率的なのは分かるのですが、親しき仲にも礼儀ありというか……。身内だからこそ、気持ちも渡したいと思ってしまいました。便利さの影で、ゆっくりと行事の温度が薄れていっているのかなあと考えさせられました」
便利さと引き換えにしたのは「気持ちの行き先」だった
便利さの中で、手間やコミュニケーション、そして恥じらいが消えていくと、行事は淡々と消費されていきます。
「来年もPayPay請求が来るのかなと思うと、お正月が少し寂しい行事になりそうです。
ポチ袋の紙の手触りも、人の家の匂いも、今だから思い出せるなんともいえないなつかしさも。そして『大きくなったね』と言ったときの照れた笑顔も。すべて面倒くさい“手間”の中に含まれていたのだと思います」
ボタンひとつで送れる時代。でも、その手軽さが「会う理由」まで奪ってしまうなら、便利さと引き換えにしたのは、気持ちの行き先なのかもしれません。不便さの中にこそ、お年玉の意味があったのかもしれません。
<取材・文/青山ゆずこ>青山ゆずこ
漫画家・ライター。雑誌の記者として活動しつつ、認知症に向き合う祖父母と25歳から同居。著書に、約7年間の在宅介護を綴ったノンフィクション漫画『ばーちゃんがゴリラになっちゃった。』(徳間書店)、精神科診療のなぞに迫る『【心の病】はこうして治る まんがルポ 精神科医に行ってみた!』(扶桑社)。介護経験を踏まえ、ヤングケアラーと呼ばれる子どもたちをテーマに取材を進めている。Twitter:@yuzubird
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