「63歳に見えない」とネット騒然…紅白35年ぶり出場の“レジェンド歌手”が変わらないのは見た目だけじゃないワケ
変わらない魅力はジャンル固有のメンタリティに依拠
1995年には「Toshi Kubota」名義で全米デビューを果たす久保田が、長年身を置くR&Bの世界にはこんな名言がある。『ブルース・ピープル』の著者リロイ・ジョーンズこと、アミリ・バラカによる「the changing same」。日本語訳すると「変わりゆく変わらないもの」という撞着表現だ。 R&Bラヴァーにとっては釈迦に説法だが、同ジャンルを語る上では欠かせない必殺(頻出)フレーズでもある。意味合いとしては、(音楽)表現は時代ごとに常に変わるけれど、根っこにある本質的な部分は変わらない、と理解していい。久保田の表現もまたデビュー以来、「変わりゆく変わらないもの」としてジャンル固有のメンタリティーに依拠してきた。 乱暴な言い方になってしまうが、だからこそ内面的(音楽表現)にも(ビジュアルを含む)外面的にも変わらない魅力を洗練させてきたところがある。全米デビューアルバム『Sunshine,Moonlight』のタイトルに込められたきらめく輝きは30年経っても色褪せないし、同アルバム収録曲「Ain’t Nobody There」のレゲエ調の二拍子は今聴いても心が弾む。 2025年末の紅白スペシャルメドレーのアレンジ力は、時代を超えて弾み続ける久保田利伸の洗練が極まった瞬間でもある。 さらにNHK-FMのレギュラーラジオ『ザ・ソウルミュージック Ⅱ』では、Today’s R&Bを名調子で紹介するトーク力も変わらずに弾む。特に印象的なのは、UK R&Bシンガーたちによるレゲエナンバー特集回(2022年9月3日放送)。 レゲエの聖地キングストンでCMを撮影したエピソードについて「キングストンの海沿いの村を何日間か借り切ってのロケ。撮影の合間合間に、すぐにレゲエセッションがはじまる。世界中のヒット曲でラヴァーズ・ロックをみんなが歌う。ぼくもつられて何曲か歌うみたいな。撮影の記憶よりも、休憩中の記憶の方が鮮明ですね」と楽しげな神回解説だった。 R&Bの伝道師はNHK紅白でもラジオトークでも弾み続けるレジェンドだ。 <文/加賀谷健>
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