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なぜ稲葉浩志の『タッチ』はこれほど熱狂を呼ぶのか? 最高傑作の誕生を、手放しで喜べない“残酷なワケ”

 野球の侍ジャパンが連覇をかけて挑むWBC。そのテーマソングが、さらに大会を盛り上げてくれそうです。

「鉄板」だったハードロック路線からの鮮やかな転換

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画像:ミズノ株式会社 プレスリリース

 Netflixが稲葉浩志の歌う「タッチ」を大会応援ソングに起用しました。2月13日に動画が公開されると、早くも話題沸騰。SNSには「かっこよすぎてヘビロテしてる」とか「ネトフリの企画力が強すぎる」などと、絶賛の声が相次いでいます。  稲葉浩志の「タッチ」は、なぜここまでインパクトを与えているのでしょうか。  それまでWBCといえば、TBS系列の放送で使用していたアメリカのロックバンド「ジャーニー」の「Separate Ways」が鉄板でした。歌詞はともかく、ドラマチックな曲調とハードロックのサウンドが、負けたら終わりのヒリヒリとした緊張感にとてもマッチしていました。WBCというタイトルの重みと「Separate Ways」は、同じベクトルのトーンで彩られていたのです。

筋骨隆々の怪物と「恋愛模様」が織りなす絶妙なユーモア

 対して、「タッチ」の動画には、よい意味でのズレがあります。歌謡曲調の軽やかさと、高校野球部の恋愛模様を描いた歌詞。これらの要素とは無関係の、筋骨隆々の海外選手の映像とともに曲が流れると、そこにシリアス一辺倒ではないユーモアが漂うのです。  もちろん、稲葉浩志のボーカルとアレンジはいたって真剣です。誰もが知っている原曲の雰囲気を尊重しつつ、硬質さも加味したサウンドによって、抜け感と現代的なかっこよさが両立した「タッチ」になっている。サウンドはスポーツのかっこよさを体現しつつ、曲のコンセプトには柔らかい色香が滲んでいます。  この絶妙なバランスが、いわゆる“にわか”ファンたちがとっつきやすいカジュアルさになるのです。  だから、この「タッチ」には、スポーツイベントと音楽との関係を書き換える力があると感じます。過度に真剣勝負を、また感動を強制したりするような一本調子の曲調に甘えていないからです。つまり、冷静な眼でスポーツイベントを捉えているからこそ実現できた、いろいろな角度から味わえる選曲なのです。  侍ジャパンが優勝するかどうかも大事だけれども、それ以上にWBCというイベントを、どのようなイメージで打ち出すか。より大きな視点が生み出した、企画力の勝利なのです。
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日本が誇る「国民的コンテンツ」を活かしたのは誰か
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