阪神ファンの「チーム愛」が異常に強い理由。弱くても強くても“愛着”が続く人気球団の真相
恋愛や人間関係のモヤモヤを解消するヒントは、実は日本一熱狂的な「阪神ファン」の心理に隠されていました。
阪神は近年こそ上位でシーズンを終えることが当たり前になっていますが、ひと昔前までは状況が大きく違いました。ただし、多くのファンはチームが勝てない時期であってもチケット争奪戦に奔走し、熱心に応援グッズを揃えます。
一見すると非効率なこの行動は、心理学でいう「サンクコスト(埋没費用)効果」によるもの。「これだけ時間とお金をかけたのだから、最後まで見届けたい!」という強い愛着が、日常のストレスを跳ね返すほどの「生きがい」へと昇華されているのです。
自身も熱心な阪神ファンだという人気マーケッター・牛窪恵さんにそのメカニズムを解説してもらいました。
※本記事は、『「幸福感」に満たされたいなら阪神ファンを知りましょう マーケッターが気づいた「効果と法則」』より一部を抜粋し、再編集しています
今回は阪神ファンの熱意がなぜ冷めないのか、なぜ長く持続するのか、という「幸福持続」に関する法則をお伝えしたいと思います。
日本シリーズが大いに盛り上がった、2023年の「関西ダービー(対決)」。阪神タイガース対オリックス・バファローズという関西代表の2チームが対戦したこの時期、毎日放送がある飲食店で実施した調査によれば、オリックスファンの平均年齢が32.6歳だったのに対し、阪神ファンのそれは48.8歳だったそうです(「よんチャンTV」毎日放送/23年10月31日放映)。
実は今回、私が拙著を書くため約3000人のTORACO(阪神ファンの女性)に定量調査を実施したところ、協力者全体の半数以上が「39歳以下」だったのに、「ファン歴20年以上」の女性が46.5%にものぼりました。それだけ、阪神ファンは「ファン歴」が長い人が多いのではないかとも想像できますよね。
では、なぜ阪神ファンは、ファンを「持続」できるのでしょうか。私は多分に、行動経済学で言われるサンクコスト効果の影響があるのではないかと思うのです。
サンクコストは「埋没費用」の意味で、すでに支払い済みで取り戻せない費用のこと。人は埋没費用が大きいほど、「これまでの支払いを無駄にしたくない」との思いから、対象に強い愛着を抱いたり固執したりするといわれます。
すなわち、「これだけ私(僕)が手間をかけてきたのだから」と、それまでかけた時間や思いなどを無駄にしたくないため、子どもに過度に思いをかけたり執着しすぎたりしやすい。わかる気はしますよね。
実際にサンクコスト効果を検証した「宝くじ」の実験でも、くじを得るために手間や時間など「コスト」をかけた人ほど愛着が湧くなどし、そのくじに固執して別のくじへの交換を嫌がる、という結果が出ました(Ronayne, D.,et al., (2021) ,“Evaluating the sunk cost effect”, Journal of Economic Behavior & Organization, 186, pp.318-327)。
ご多分にもれず、阪神ファンにも似た心理があると考えられます。
なぜ阪神ファンは応援するのをやめないのか
サンクコスト効果とは?
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