更新日:2026.06.18 19:13
Lifestyle

阪神ファンの「チーム愛」が異常に強いワケ…弱くても強くても“愛着”が続く人気球団のカラクリ

「自分が応援しないと」という愛着

肩を抱いて微笑み合うカップルたとえば、「チケット争奪戦」という手間や、ユニフォームやタオルといった応援グッズに投じる費用など、彼らはタイガースのために様々なサンクコストをかけてきました。 また、これも「暗黒時代(おもに90年代の下位低迷)」や「メークレジェンド(08年の大逆転V逸)」、「334の悲劇(05年日本シリーズでの大敗)」などの悲劇を経てきた彼らは、「放っておけない」「自分が応援しないと(負けるのでは?)」などと考えやすくなります。 だからこそ、私を含めた阪神ファンは「これだけ関わってきたから」とタイガースに強い愛情や愛着を感じ、長らくファンを続けやすい。あえて別の道を選ぼうとはしたがらないのでしょう。

愛着は決して悪ではない

通常、サンクコスト効果は、合理的な判断を妨げる「悪い例」として紹介されます。先ほどの宝くじの場合も、「本来は交換したほうが得だったかもしれないのに、そのくじへの思い入れから、やみくもに交換を拒否してしまう」といった具合。 ですが、別の角度から見れば、このサンクコスト効果がもたらす愛着を、皆さんの生活や仕事に「前向きに」活かせる可能性があるのを、ご存じでしょうか。 たとえば、恋愛初期。「ダメな子ほど可愛い」と同様に、意中の誰かに「放っておけない」「今後も私(僕)がいなきゃ」と感じさせることで、あなたへの関心や愛着が高まる効果も期待できます。 一例を挙げると、「僕、朝寝坊しちゃうタイプなんで、電話で起こしてくれるとうれしいんだけど」と聞いてみる、あるいは「私、ペットボトルのフタ開けるの苦手だから、開けてくれる?」と頼んでみるなど。 時には断られるでしょうが、何度か応じてくれたなら、ペットボトルを見てふとあなたを思い出したり、「一人で平気かな」と気になったりするかもしれません。なぜなら、それまでに彼らもあなたに手間をかけてきたからです。 一方、職場では「サンクコスト効果に注意せよ」と、自分や仲間を戒めることが仕事上、プラスに働く可能性も高いはず。たとえば、プロジェクトで「長年、この方法でやってきたから」や「この部分に、これだけ投資してきたから」などと固執して、正しい判断を見誤っていないか。 あえてチェックリストを作って「この方法を続けていいのか」と定期的に見直したり、人や予算の投入先を数か月に一度、メンバーで話し合ったりする、といったニュアンスです。 往々にして悪者扱いされがちなサンクコスト効果ですが、阪神ファンを見ていると、損得考えずについ思いをかけてしまうことは、必ずしも「悪」ではないと思うのです。 <文/牛窪恵>
牛窪恵
世代・トレンド評論家/立教大学大学院客員教授/修士(MBA)。マーケティング会社インフィニティを20余年経営し、大手企業各社と数千人の消費者を取材。その知見から、財務省 財政制度等審議会専門委員や内閣府「経済財政諮問会議」政策コメンテーターなど、数多くの政府委員や研究会メンバーを歴任してきた。阪神タイガースの大ファンで、毎年40試合前後を現地(球場)にて観戦。阪神ファンへの取材経験も多い。推しは森下翔太選手。
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