オープンからの常連客はいつものようにビールを注文し、佑真さんと楽しく雑談を交わしていました。だいぶ盛り上がったところで、神妙な面持ちで押し黙り、「ずっと言おうかどうしようか迷っていたんだけど……」と切り出しました。

「常連客は、2店舗のうち1店舗が『悲惨なことになっている』と言うんです。突っ込んで聞くと、本店から手伝いに行かなくなったあたりから、だんだんと接客や盛りつけが雑になっていき、メニューにはあるのに提供できないものも増えていったと説明してくれました」
さらには店長の友人と思われる人たちを招いて頻繁にドンチャン騒ぎをしはじめたため、ほかのお客さんたちはどんどん来なくなっていったと言います。家から近くて便利だったが「足が遠のいてしまった」と、悲しい表情を浮かべる常連客の姿を見て佑真さんは焦ります。
「すぐに問題の店へ行ったところ常連客が教えてくれた通り、店のなかは店長の友人ばかり。駐車場によく停まっていると思っていた車はすべて店長の友人が乗ってきたものでした。だとしたら売り上げはどうなっているのか、ビビリながら調べたら案の定です」
仕入れた食材やアルコールで毎晩のようにドンチャン騒ぎをしていたことが発覚。渡していた毎月のお金をすべて使い果たしていただけでなく、食材やアルコールのツケもすごい金額になっていて、家賃まで滞納していたことが判明します。
「本店ともう1店舗の売り上げで家賃やツケの分はすぐに補填できましたが、よくない噂がまわってしまったのか、それ以降は客足もイマイチ。家族や親戚にボランティアで働いて助けてもらったりもしましたが……最終的には自己破産する羽目になってしまいました。無念です」
失敗の原因は、自分が経営を丸投げしたことにあると佑真さん。誰かに手を差し伸べたり信じたりすることもときには大切ですが、すべてを任せずに適切に介入し、場合によっては厳しい態度や判断を下すことも必要かもしれません。
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<文/山内良子>
山内良子
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意。