肝心の業務内容はというと、最初はコンベアに流れてくる製品の傷チェック、次は生地を並べる、そして次はコンベア上のパンを均等に並べ直す……と、1~2時間ごとに作業の変更がありました。
部署によっては、同じ作業一日中ひたすらということもあるかもしれませんが、私の配属先は様々な種類の製品を作っている部署でしたので、同じ作業を8時間ずっと続けるということはなかったです。
ラインの作業は、いつもYouTubeで日常的に工場の動画を見て無為な時間を過ごしている自分にとって、むしろエンタメで心躍りました。

作業をしているうちに不思議な気分になってきました。目の前の物体(パン)と、作業にじっくり向き合い続けることで、いつのまにか自我が身体から離れたようになっていったのです。
幽体離脱といいますか……母でも妻でもライターでも何もない、完全にパンを作る機械になった感覚です。悟りを開いたような心地よさをおぼえました。
業務が終了し自己を取り戻した時の開放感が気持ちよかったです。私はどこの世界にいっていたのでしょうか――? 終わった瞬間、思わず出た心の叫びです。時間もあっというまでした。
ただ、合わない人は合わないでしょう。「精神がやられる」という体験談も理解できる気がします。
よく考えれば、「パワハラが多い」「嫌な裏側を見てしまう」など、私が聞いたネガティブな体験談は十年以上前のものです。労働者の声や、発生した問題を積み重ねて改善されていったのでしょう。

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初心者に手厚く、そして休憩中はパン食べ放題で、体力的な疲労以外の嫌な部分は見つかりませんでした。
どんなにネガティブな口コミでも、自分には合う場所かもしれませんし、一度体験してみなければわからないですね。またリピートしたいと思います。
<文/小政りょう>
小政りょう
映画・テレビの制作会社等に出入りもするライター。趣味は陸上競技観戦