
『阿部慎之助の野球道』(徳間書店)
立川志らく氏や山崎貴氏、そして署名運動に熱を上げた人たちは、このオブラートに包まれているために苦みを感じないからこそ、阿部氏を応援したいというファイティングポーズを取れているだけなのです。
しかしながら、その後の辞任に至るまでのスピード感を見れば、どう考えても阿部氏に勝ち目はないと考えるのが、本来の意味での大人の常識でしょう。阿部氏は自ら責任を取って辞任したのではなく、外堀を埋められ責任を取らされて辞任させられたのです。
もちろん、そこに至る経緯については詳細には報じられません。けれども、言外の意味、文脈を読み取る力が少しでもあれば、今回の件で阿部氏に同情すべき点など1ミリもないことはわかるはずです。
阿部氏を擁護することの是非を問うているのではありません。この署名運動の滑稽さは、大人たちが大局観を失った荒野を映し出している。
そこに絶望するのです。
<文/石黒隆之>