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若者の服に「前世は雑巾」、政治家は「旧家の便所みたいな顔」美輪明宏さんが生前の取材で語った“キレキレの格言”を振り返る

癒しの力を持つビブラート・ボイス

『私の人生論 目に見えるものは見なさんな』(毎日新聞出版)

『私の人生論 目に見えるものは見なさんな』(毎日新聞出版)

 そして毎回驚かされるのが、何歳になっても美輪さんの衰えぬ頭の回転の速さ、知識や教養、記憶力。  この取材のときも、エディット・ピアフによる「愛の賛歌」の歌詞や、「人生の大根役者」「18歳の彼」といったシャンソンの歌詞を次々とそらんじていました。特にピアフの「愛の賛歌」は、自分本位な恋愛を超えた純粋で普遍的な愛が歌われているとのことで、感情がこもっていました。  そんな美輪様のビブラート・ボイスには、自然界の癒しのゆらぎと、カリスマのゆらぎ、この2つが融合していて、世界でも稀な声だそうです。音波の癒しの力は絶大で、コンサートを聴いて体が軽くなった方も多かったことでしょう。何より美輪様ご自身も、自分の声のゆらぎの健康増進効果を実感されていたのだと思います。  そんな美輪様の歌声や格言を聞けなくなってしまったのは残念です。美輪様の今までの言葉や声をAIに読み込ませて、新たなご指導ご鞭撻をいただきたいところですが……。 「便利と引き換えに情緒やロマンティシズム、叙情性を失ってしまいました」と、デジタル社会に懸念を表されていた美輪様なので「AIに愛なんてわかるの?」と一刀両断されそうです。  美輪様のような方は後にも先にもいらっしゃらないので、普遍的なメッセージ性がある著作や発言の数々を、脳内再生することしかできません。インナー美輪様に話しかければ、神通力で高次元から答えてくれる気がしています。 <文・イラスト/辛酸なめ子>
辛酸なめ子
東京都生まれ、埼玉育ち。漫画家、コラムニスト。著書は『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎)、『女子校育ち』(筑摩書房)など多数。
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