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「障害者がもう一人増えた」と怒る母に感じた世間体。骨形成不全症の37歳女性が重度訪問介護で親から自立するまで

一人暮らしを決意も……

30歳

30歳の誕生日

「大学を卒業してから企業のコールセンターで働いていたこともあり、このまま実家で過ごしても、親がどんどん過保護になっていくだけで、親にとっても私にとっても良くないなと、一人暮らしを決意しました。介助が常に必要な中で、親子だと物理的にも精神的にも距離が近すぎて、常に見張られているような気持ちになっていました。とにかくプライベートな時間が欲しかったというのもあります。初めて入院した時、あまりにも自由でとても楽しかったんですよね。 なぜなら看護師さんは仕事なので、割り切って必要な世話や介助はしてくれますが、プライベートに介入してくることがなかったからです。カーテンを閉めといてくださいと頼めば、小言も言わずにしてくれるし、意思も尊重してくれる。それがすごく心地よかったことも一人暮らしに向かった大きな理由です。 今は一人暮らしで、就労時以外は重度訪問介護というサービスを使って、ヘルパーさんに頼りながら生活をしています。仕事でやってもらっているという意識があるので、こちらも過度に気を使わずに、ヘルパーさんがいても一人でテレビを見たりとプライベートな時間は確保できるようになりました」  一人暮らしに伴う不便は増えるが、自己判断を優先される生活を送ってみたかったという渡辺さん。その最大のハードルとなったのは、やはり両親の説得だったようだ。 「父はいつも傍観者でしたね。定年まではとにかく仕事第一な人で、母も私が子どもの頃から一人で常に介助が必要な私をどう受け止めていいかわからず、精神的に折り合いがつかない状況がずっと続いていたのだとは思います。障害=恥と思っていた節があったので、周りにも悩みや本音を吐露する機会もなかったようですし。 その中で、自立を決意する大きな機会になったのは『いつか親は必ず死ぬ』と思えたということ。私は最終的な判断を自分で負うのが自立だと捉えています。親がいなくなる前提で、一人で生活する準備をしておく必要がある中で、その準備期間はできるだけ長いほうがいい。そう思って、一人暮らしをする決意を話したのですが、まあ当然反対されました(笑)。 私が一人暮らしをして、1人のときに何かあったり、骨折をしたらどうするの?って言われましたが、逆にいま一人暮らしをして、しっかり自立できたら逆にお母さんも安心できるよねと説得したら、あまり離れたところではダメなどの条件付きではありましたが、一応許可はおりましたね」  親と物理的に距離を置いたことで、親子関係を客観的に見れるようになり、親の心理面を俯瞰的に分析する機会になったという。また、自分の世界もどんどん広がり、自分の世界を確立することにもつながっていると渡辺さんは、話してくれた。

親は変えられないが、関わる人は決められる

渡辺さん「障害を持つ立場の人は、親が世話をするべきという風潮はまだまだあるので、そこに外部が介入するのは難しい側面はあると思いますが、でもだからこそ制度を利用して、家に篭らず、親以外のところで自分の世界を作ることが重要だと実感しています。障害の程度によって限界もありますが、実家にいながらでもヘルパーは使えるので、親以外の人と関わる機会を積極的に作ることは大切だと思います。 障害者ゆえに健常者よりも経験値が少ないことはどうしてもあるので、だったらなおさら、いろいろな人と関わって、そこからもらえるアイデアだったりヒントはありがたく、自分の世界を広げてくれる材料になると思います」  障害の有無に関わらず、親との関係に悩み、「理解してほしい」と苦しみ続けている人にとっても、親との関わりを自分の人生のすべてにしないことの重要性は共通してくるだろう。  親は選べなくても、自分が関わる人は選ぶことができる。また外の世界に目を向け、新たな人とのつながりを築いていくことで、人生というのは、少しずつ変えていくことができるのかもしれない。 <取材・文/SALLiA>
SALLiA
歌手・音楽家・仏像オタクニスト・ライター。「イデア」でUSEN1位を獲得。初著『生きるのが苦しいなら』(キラジェンヌ株式)は紀伊國屋総合ランキング3位を獲得。日刊ゲンダイ、日刊SPA!などで執筆も行い、自身もタレントとして幅広く活動している
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