朝ドラ『風、薫る』で“告白できない男”好演の小林虎之介(28)。再登場のたびに目を奪われる「洋装と独特の間合い」
時代の空気を表現する独特の間合い
虎太郎が着るジャケットにはボタンが4つあり、これは明治初期のスタイルだ。彼がいったい、どこのテーラーで仕立てたのか気になるところだが、昭和になると実業家たちは仕立てのいい高価なスーツを着て事業に精を出すようになる。 小林の出演ドラマ『ながたんと青と-いちかの料理帳-2』(WOWOW、2026年)の時代設定はまさにそのあたり、GHQ占領下の1951年だった。 小林演じる川島栄は、大阪でホテルを経営する実業家一族の次男で、第2話の初登場場面で仕立てのいいスーツ姿を印象づけた。この栄役と虎太郎役の洋装を見れば、服装による時代の変化がよくわかる。 そして小林はその時代ごとにキャラクターがまとう空気感を、独特の間合いで表現している。 何ともミステリアスな雰囲気がある栄役では、その後日本が高度経済成長期に入ることを見越してか、あからさまな野心をぎらぎらさせ、ねっとり持続する眼差しで相手を見つめた。 虎太郎にも出世欲はあるが、それはりんに気持ちを伝えられないもどかしさの裏返しでしかない。 第21週第105回、朝鮮の支配権をめぐり日本と清が争う日清戦争の戦地に志願したことをりんに報告する虎太郎が、本心をぐっと飲み込む間合いと眼差しもまた、小林虎之介が表現する時代の空気なのだ。 <文/加賀谷健>
1
2










