
過去を作品に昇華するにくまん子氏。はたして、この言葉責め男は実在したのか?
――『恋のカスと愛のクズ』には、ピロートークで「俺の言葉攻めエグいっしょ」と自画自賛する男が出てきますが、彼は典型的な“嫌われおじさん”のタイプですね。
佐伯:これって結局、「俺ってすごいよね」という承認を強要する行為。自分の不安を相手に処理してもらっているから冷めるんですよね。
まん子:それなら、「うわ、おっぱい気持ちいい!」って素直に喜んでいる男のほうが、取り繕っていなくて100倍かわいいです(笑)。あと、おじさんに多いのが「俺なんてもうハゲてきちゃってさ〜」と自虐しながらチラチラ見てくる人。こちらにフォローを強要してくる圧を感じて疲れます。
佐伯:自虐って、へりくだっているようで、実は褒められ待ちと同じぐらい、相手に感情労働を要求している言動ですよね。アゲもサゲも相手に同調を求めると疲れさせちゃう……。
――では、年を重ねて“愛されるおじさん”になる人は、何が違うと思いますか?
佐伯:今の若い世代は人との距離感の目盛りがすごく細かくて、インスタのストーリーズに「いいね」を押すだけでも、人によって慎重に対応を変えている。でも、おじさんは「コミュニケーションは多ければ多いほどいい」という大雑把な感覚で踏み込みがち。そこで「ちょっと重いですよ」と指摘されたときに、「今はそうなんだ」と素直に学べる人は、愛される側に回れる気がします。
まん子:あとは、自分で自分の機嫌を取れる人。ハゲを自虐してフォローを求めるのではなく、自分で笑い飛ばせるくらい“陽のオーラ”がある人は愛されると思います。
佐伯:周囲に自分の不快や不安を処理させず、自分で自分を楽しませて勝手にご機嫌でいられること。自分も含め難しいですが、目指す意味はあると思います。

『恋のカスと愛のクズ』は「マンガSPA!」で連載中
【にくまん子氏】
漫画家。『泥の女通信』『恋煮込み愛つゆだく大盛り』など、現代のリアルな恋愛模様を描いた作品が多くの女性から圧倒的な共感を集める。新刊『恋のカスと愛のクズ①』が発売中
【佐伯ポインティ氏】
1993年生まれ。猥談系YouTuber。性愛や日常の悩みをフラットに語るスタイルがZ世代を中心に支持されている。著書に『嫌われおじさん愛されおじさん』などがある
<取材・文/福田フクスケ 撮影/杉原洋平>