更新日:2026.11.08 09:31
News

授業中は机に突っ伏し、特別支援を受けていた小学生。知能検査の「誰もが驚く結果」で、学校生活が好転したワケ

周りの大人が「知る」ことで、ギフティッドの子どもが変わった

――その子自身には、どんな変化があったのでしょうか。 角谷:興味・関心を生かせる場ができると、その子のやっていることに興味をもった友達のほうから近づいてくるようになりました。その子も自分を押し通すのではなく、友達を受け入れるようになりました。先生はその様子を見て、「この子はこういう勉強がしたかったんだ」と気づいたそうです。良かれと思っていた働きかけやその子を助けようという一心で行っていた援助とは、まったく異なるものをその子は必要としていたのだということに気づいたのです。  長期休み明けには、サポートの先生がいなくても自分で教科書を開いて、授業に参加していました。この急激な言動の改善は、ギフティッドの子が、自分にあった環境が与えられた際に示す大きな特徴の一つです。激しく繊細ですから、良い方向に環境が少し変わると、劇的に事態が改善します。友達を助けるようになるなど、周りとの関係も変わっていきました。 休み時間を過ごす小学生――それまで、誰にも理解されずに相当苦しい思いをしてきたのですね。 角谷:そうですね。だからこそ、周りの大人が知ることが大切です。このケースでは、最初にギフティッドの本を読んでいたのは校長先生だけでしたが、ほかの先生たちも積極的に学び、その特性を知っていきました。ギフティッドが前提になったこと、そして先生たちの知識が増えていったことが、大きかったのではないでしょうか。

学校には「ギフティッドです」より「家での様子」を伝える

――文部科学省は、知的ギフティッドを含む「特定分野に特異な才能のある子ども」のための特別な教育課程を、令和10年度から先行実施する方向で準備を進めています。とはいえ、ギフティッドへの理解は、まだ学校現場に十分広がっていません。親は学校とどう連携していけばいいのでしょうか。 角谷:子どもや先生の状況、学校を取り巻く環境によって違うので、こうすれば絶対うまくいく、というものはありません。  ただ、今の日本では、「ギフティッドなんです」と言っても、ことが進むことはあまりないと思います。ギフティッドの特性を熟知している先生はまだ少ないので、それを聞いて「じゃあこうしましょう」と言える先生はあまりいないでしょう。 ――では、どのように伝えるといいのでしょうか。 角谷:ギフティッドであるかどうかとは関係なく、大切なのは子どもが困っている「事実」を伝えることです。その際、親の思いと子どもの実際の様子をきちんと切り分ける。先生にとって有益なのは、できるだけ具体的な実際の子どもの様子です。  たとえば、「学校を嫌がっているんですよ」より、「明日学校に行きたくないと、言っているんです」といったように、具体的に、ありのままに伝えます。 ――親の解釈や希望が混ざると、先生が子どもの状態を判断しにくくなってしまうということですね。 角谷:そうですね。それから、理由の伝え方にも工夫がいります。「知的能力が高いから行けないんです」と言っても、なかなか通じないですよね。「授業が面白くなくて」でも、カチンときてしまうかもしれない。「もっと難しい問題をやってみたいと言っている」「待つ時間が多すぎて退屈になってしまうと言っている」など、授業への評価を含めずに具体的に伝えるとよいと思います。  別室登校などを相談するときも、親の希望ではなく、「本人が『保健室なら行けそう』と言っている」と伝えるのがいいですね。また、学校と頻繁にやりとりができる場合は、「今日はとても楽しかったと言っていました」など、ポジティブな情報も先生にお伝えするとよいでしょう。先生も「このやり方でいいんだ」と安心できて、よい循環が生まれることもあります。
次のページ 
困難の原因が、学校の側にあることも
1
2
3
Cxense Recommend widget
あなたにおすすめ