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ハワイのラウンジで出会った70代男性。「最後の旅行かも」と話す彼に教わった、旅の本当の価値

 新卒から18年半、テレビ朝日のアナウンサーとして、報道、スポーツ、バラエティなど多岐にわたる番組を担当してきた大木優紀さん(45歳)。  40歳を超えてから、スタートアップ企業「令和トラベル」に転職。現在は旅行アプリ「NEWT(ニュート)」の広報を担当。さらに2025年10月には、ハワイ子会社「ALOHA7, Inc.」のCEOに就任し、家族とともにハワイへ移住。新たなステージで活躍の場を広げています。  第67回は、大木さんが働くハワイのラウンジで出会った70代男性とのエピソードを綴っています(以下、大木さん寄稿)。 【過去記事】⇒連載「大木優紀の旅の恥はかき捨てて」を読む 【Voicyで聴く】⇒音声版「大木優紀の旅の恥はかき捨てて」

ハワイのラウンジで出会ったお客様の物語

大木優紀さん

大木優紀さん

 今、私がいるハワイの子会社では、旅行アプリ「NEWT」を利用してハワイに来てくださったお客様が立ち寄れる「NEWT ラウンジワイキキ」というラウンジを運営しています。  ラウンジでは、お客様にお飲み物をお出ししたり、アクティビティツアーの申し込みを受け付けたりしています。  今日は、先日ここを訪れてくださった、70代の男性のお客様との出会いについてお話ししたいと思います。  事前にツアーを手配したメンバーからは、「今回が最後のハワイ旅行になるかもしれないお客様です」と聞いていました。  そんな話を聞いていたので、少し神妙な気持ちでお迎えしたのですが、実際にお話ししてみると、そこには私の想像を超える、長い年月をかけて紡がれてきた家族の旅の歴史がありました。  そして、お話を通して、改めて「旅の価値」についても考えることがあったので、今日はそのお話について綴っていきたいと思います。

新婚旅行から続く、ハワイに刻まれていったご家族の歴史

 そのお客様は、20代で結婚し、50代で奥様を亡くされています。思い出の地ハワイで、奥様の散骨もされたそうです。それ以来、奥様の命日のころに、思い出の地であるハワイを、毎年訪れているそうです。  ハワイは、ご夫婦にとって初めての海外旅行であり、新婚旅行の場所でもありました。お客様は「妻との思い出を巡る旅だから」とおっしゃり、カバンの中には、奥様の写真と、当時の古い日程表とパンフレットを持参されていたんです。  もう何十年も前の、私が生まれる前の物もあって。見せてくださった瞬間、ご夫婦の歴史を感じたのですが、状態もきれいなままで、とても大切に保管されているのが、わかったんです。  その方の旅の思い出の深さまで伝わってきて、私自身タイムスリップして、奥様にもごあいさつしたような不思議な感覚にすらなりました。  ご夫婦は新婚旅行でハワイに来た時に、「4年に一度、オリンピックの年には必ず海外旅行に行こうね」と約束されたそう。その約束を守り、おふたりのお子さんが生まれてからも、家族4人で、ハワイを中心に海外旅行を重ねてこられ、かけがえのない思い出になっていったと。  奥様との思い出をお話しする表情には、悲しみや寂しさももちろんありました。でも、それ以上に楽しかった記憶を一つひとつ確かめるような、とても前向きで充実感に溢れた表情もあって。  私の勤める「令和トラベル」は、スマートフォンひとつですべてが完結することを強みにしている旅行アプリ「NEWT」を提供しています。もちろん、便利さは現代の旅行に欠かせないものです。  でも、びっしりと書き込まれた新婚旅行の日程表を見ていると、旅の記録が形として残り、何年、何十年とたったあとも、その時の思いを鮮明に蘇らせてくれる。そんなアナログな思い出の力を改めて教えていただいた気がします。
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