Lifestyle

シングルマザーから一転、SNS投稿をきっかけに世界が注目――写真家・浅井美紀さんの素顔

 マクロレンズを通して、水滴に映りこむ花やアリなどの幻想的な写真を発表し続けている写真家・浅井美紀さん。「まるで妖精の視点」と絶賛され、東京・キャノンギャラリー(品川)で2月25日~3月13日の期間に開催されている「浅井美紀写真展:幸せのしずく~World of Water Drops~」は、神戸や九州からもファンが訪れるという盛況ぶりです。

 そんな浅井さん、実はシングルマザー。仕事や家事に追われる生活の中、趣味でSNSに投稿した写真がイギリスの雑誌社の目にとまり、さらに日本へ逆輸入されるかたちで、「情報ライブ ミヤネ屋」(読売テレビ)や「未来シアター」(日本テレビ)に取り上げられました。

「The Drinker」

「The Drinker」

 瞬く間に話題の写真家への階段を駆け上がることとなり、まさにため息の出るようなシンデレラストーリーですが、ご本人はどう感じているのか。早速、本人にお伺いしてみました。

「マクロレンズの写真に感動した」のがきっかけ



「嬉しいんですが、何だか未だに現実感がありません(笑)。家と会社の往復だけだったこれまでの生活とかけ離れているので」

 趣味でカメラを始めてから、日本で写真家として注目されるまで。どのような経緯があったのでしょうか?

写真家・浅井美紀さん

急な環境の変化に「いまだに現実感がない」と笑う浅井さん

「もともと写真は好きで、よく眺めていました。キレイな写真を探して、たどり着いたのが、海外の写真投稿SNS『500px』。そこのマクロレンズで撮影された写真に感動したのが、カメラを手に取るきっかけです。それが3年前。そこから初心者向けと言われる一眼レフカメラやマクロレンズも購入し、撮影した写真を『500px』に投稿していました。


 そしたら、イギリスやアメリカから雑誌やカレンダーに掲載させて欲しいと連絡が来ました。もちろん英語で。だから、最初は英語の勉強しながらメールもやりとりして、大変でしたね。その後、日本でもテレビで紹介していただきました。テレビに出たときはやはり一番反響は大きかったですね」

「写真が本当に好きで好きでたまらない」



 1枚あたり2~3時間ほどの時間をかけ、納得のいく写真が撮れるまで何百枚もシャッターを切り続けるという浅井さん。炎天下の中、ベストショットが撮れるまで粘り、熱中症になりかけたこともあるといいます。そこまで浅井さんを突き動かすものとはいったい何なのでしょうか?

「写真を本当に好きで好きでたまらないからだと思います。私に何か特別な才能があるわけではありません。これまで写真を学んだこともないし、美術の成績も“2”でした(笑)でも、特別に好きだから、何時間でも粘れるんだと思います。写真を好きになれたのが幸運でしたね」

「One Pearl And Many Pearls」

「One Pearl And Many Pearls」

 そもそも花や水滴といった身近な題材にこだわるようになった理由は?

「まだカメラを始めたばかりの頃、水滴を撮影した時に、あまりの美しさに感動したからです。朝日に照らされてキラキラ輝いていて……。もっとも、実物は写真よりも数百倍キレイでした。なので、どうやったらこの美しさを写真で表現できるかと考えるようになり、今でも試行錯誤の連続です」

「Ephemeral Beauty」

「Ephemeral Beauty」

息子から言われた「〇〇だけは尊敬するわ~」



 仕事や家事もこなしながらの撮影となると相当忙しいのでは……?

 「写真は、仕事が終わった後や休みの日に撮ります。休みの日は早起きして午前中に撮影し、午後からは画像処理。天気がよければ一日中写真に没頭しています」

 正真正銘、写真漬けの日々を送っている浅井さん。これも「本当に好き」だからこそなせる業なのでしょう。また、写真家として注目されるにつれて、ご家族との関係も少しずつ変わっていったそうです。

「25歳になる息子とは、照れもあったのか2、3年前までなかなか会話がありませんでした。でも、写真をきっかけに少しずつ話をすることが増えて。『ミヤネ屋』に出演した時には、『さすがにこれだけは尊敬するわ~』と言われました(笑)」

「My First Treasure」

「My First Treasure」

 浅井さん初となる写真集『幸せのしずくWorld of Water Drops』(扶桑社)も発売され、今後ますます写真家として活躍の場を広げそうです。今後の展望を伺うと「今まで通り、好きに撮っていきたいです」と笑う浅井さん。環境が変わろうとも、写真そして自然と、真摯に向き合う姿勢が「写真家・浅井美紀」の原点なのかもしれません。

<取材・文/小泉ちはる>




あなたにおすすめ