えぇっ!! そんなものまでヤフオクで買えるの!?【シングルマザー、家を買う/12章・後編】

⇒【前編】はコチラ

 とはいえ、私が思っている以上に、250万円というのは80平米の家に対してかなり少ないようで、廃材を使うか、これまでのドアなどを活かしたものでしか、全部屋は手がけられないということも教えられた。それと同時に、リノベーションの雑誌に載っているような美しい部屋は無理だということも、しっかり胸に刻まされた。

 美しいオシャレ部屋……。あれは人間でいうと完全なイケメンだ。そして、私の手元の金額で出来るのは、本物とは完全に異なる雰囲気イケメンだ。そこを絶対に履き違えたらいけない。履き違えたいけど、履き違えたら痛い目を見る!

 昔、まさに雰囲気イケメンだった元カレを母親に紹介したときに、「あの子は遠くから見るとカッコイイけど、近くで見るとぬぼ~っとしてるね」と言われたことを忘れてはいけない! それからイケメンに見える魔法が瞬間で取れたことを忘れてはいけないのだ!

購入費より高い設置費用



 さらに設計士さんは、部屋の中だけでなく、キッチンやお風呂、便器なども全部新しいものに変えなくてはいけないことを教えてくれた。でも、それらのものを普通に購入するだけで100万円を超してしまう。それでは、工事費にお金が回らない。

 システムキッチンに関しては、ニトリで20万以下で買えるというから、喜んで買いに行ったら、設置費用がそれと同等にかかるではないか。

 ……それじゃ意味ないじゃん! でも設置しなくちゃ、使えないじゃん! IKEAだってそうだ。キッチンは驚くほどオシャレで安いのに、設置費用が高すぎる。しかも、設置は必ず指定の会社にお願いしなくちゃいけないというのだ。それを察してか、ちっちゃいおじさんの大工さんは、「モノさえあれば僕が設置するんだけどねぇ……」と弱い声で教えてくれる。

 もう! このちっちゃいおじさん、自分で設置できるって言ってるよ! お願いだから安く売って!

 このままでは、システムキッチンを設置するだけで、工事費用がマイナスになってしまう。となると、洗面台どころか、トイレの購入もままならない。とはいえ、もとからついている、築35年の赤サビだらけのこのキッチンを使うのは悲しすぎる。というか、絶対イヤだ。

 本当に貧乏は敵だ! 家を買ったって中身がなけりゃただの箱だ!

キッチンはヤフオクで買える



 しかし、どんなことにも打開策はある。

「どう考えても、システムキッチンが買えない」と涙目で相談すると、設計士さんはこう答えたのだ。

「それなら、ヤフオクで買いましょう」

 え! キッチンって「ヤフオク!」で買えんの!?

シングルマザー、家を買う イラスト3「あと、洗面台もヤフオクで買いましょう」

 え! 洗面台も!?

「じゃぁ、トイレも……?」

「はい。ヤフオクで買いますよ!」

 ヤフオク、無敵である。この日から、私のヤフオクとの戦いが始まった。持っている資金で全部を揃えなくてはいけないのだ。しかも設計士さんが言うには、それを全部で50万円で揃えろというのだ。

 そうか。自営の設計士さんと一緒にやるということは、私もいろいろしなくちゃいけないのか。これが仲介料がないということなのね……。

 そんな設計士さんの大胆なアドバイスのもと、ヤフオクのページを開いた私は、理想のシステムキッチンとトイレ、そして洗面台をゲットするために熾烈なオークション戦争に足を踏み入れたのだった。



<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>

⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】

【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky

※このエッセイは毎週水曜日に配信予定です。

吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky
シングルマザー、家を買う

年収200万円、バツイチ、子供に発達障がい……でも、マイホームは買える!

シングルマザーが「かわいそう」って、誰が決めた? 逆境にいるすべての人に読んでもらいたい、笑って泣けて、元気になる自伝的エッセイ。




あなたにおすすめ