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目指すは、“雰囲気イケメン”みたいな家【シングルマザー、家を買う/12章】

<シングルマザー、家を買う/12章> バツイチ、2人の子持ち、仕事はフリーランス……。そんな崖っぷちのシングルマザーが、すべてのシングルマザー&予備軍の役に立つ話や、役に立たない話を綴ります。 (前号までのお話) 不動産屋に予算を上回るリフォーム費用を提示され打ちひしがれていたが、保育園で出会ったママ友・Nさんの旦那さんが壁紙職人であることを思い出す。相談してみたら、自営の大工と設計士を紹介してもらうことに。

リフォームの助っ人は“弱いコブクロ”

 家の購入に関わる手続きも無事終わり、リノベーション費用もなんとか捻出できた私は、壁紙職人であるママ友の旦那さんという強い助っ人を手に入れ、胸の高鳴りを抑え切れないでいた。その旦那さんは、なんと、貧乏な私のために自営の大工さんと設計士を紹介してくれるというのだ。  そして、その2人との初対面の日。もう、お見合いパーティーよりワクワクしていた。だって、私の理想の家をビックリするような低価格(願望)で、作り上げてくれる素敵な人たち(のはず)なのだから。  果たして、どんな人がくるのだろうか。きっと、『大改造!!劇的ビフォーアフター』(朝日放送系)の匠のような、オシャレで、インテリで、でもちょっと頑固☆みたいなおじさま設計士と、湘南乃風のメンバーにいそうな力強い大工さんがくるのだろうと信じて疑わなかった。私のイメージ、かなり貧困である。  そして待ち合わせの時間。ドアを叩く音を聴き、覗き穴から覗くと、そこにはヒョロヒョロッとした優男風のおじさん(推定46才)と、ちっちゃいおじさん(推定43才)がいるではないか。 シングルマザー、家を買う イラスト1「あの~、どちらさまですか?」  一応、聞いてみることにした。すると、すごく小さな声で反応が返って来た。 「大工です……」と。  弱い。ファーストインプレションが弱い。そこで私は少し頭を整理した。もう湘南乃風は脳内じゃ流れない。 「……あ、どうぞ」  ドアを開けて招き入れると、そのコブクロみたいなコンビの2人はすぐに自己紹介をしてくれた。どうやら、優男さんが設計士で、ちっちゃいおじさんが大工さんらしい。  うん。親しみやすい。

目指すは、“雰囲気イケメンみたいな家”

 冒頭で築き上げたイメージを急いで消し去り、とりあえず仲良くならなくてはと思い、自分のことを話してみた。 「実は私、晴れてシングルマザーになりまして、この度、家を買うことになりました。それで、手持ちのお金がないんですが、オシャレな家に住みたいんです」と。  明らかに2人は苦笑していた。そりゃそうだ。苦笑しかない。そこで設計士さんは、いきなりこう返してきた。 「予算……というか、出せる限度額はいくらでしょう」  ストレートだ。そこで「全部含めて250万円です」と答えると、設計士さんはド真面目な顔でこう投げかけてきたのだ。 「じゃ、オシャレは雰囲気でいいですか?」 シングルマザー、家を買う イラスト2 ……ふ、雰囲気か。わかる、わかるよ、その感覚。あれでしょ? 全然イケメンじゃないのに、服装や前髪でイケメンに見える雰囲気イケメンってヤツでしょ!? でもさ、もとは全然イケメンじゃないんだよね、大体。でも、なぜかそこに惚れるんだよね! 全っ然イケメンじゃないのに!  私は2秒だけ雰囲気イケメンを思い浮かべて、こう答えた。 「それでお願いします」と。  そして、念願だった私の(雰囲気)オシャレ部屋のリノベーションが始まった。 ⇒【後編】「えぇっ!! そんなものまでヤフオクで買えるの!?」に続く http://joshi-spa.jp/213939 <TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【吉田可奈 プロフィール】 80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky
吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、出版社に入社、その後独立しフリーライターに。音楽雑誌やファッション雑誌などなどで執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。長男に発達障害、そして知的障害があることがわかる。著書『シングルマザー、家を買う』『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』Twitter(@knysd1980
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シングルマザー、家を買う

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