仲介手数料って怖い! お金がない時に頼りになるのはやっぱり友達【シングルマザー、家を買う/11章・後編】

⇒【前編】はコチラ  その時私は、この一言で世界が広がると思っていた。仲良くベビーカーを引いて一緒に歩く公園への道。一緒にランチをして、育児の大変さをわかちあう日々……。  もう、絶対に誰かと知り合いになりたい! もう、一人はイヤだ!  そんな熱い情熱で、わが子を抱き、鼻息を荒くしながら、意気揚々と偶然私の前にいた女性に聞いたのだ。 「何ヶ月ですか?」と。  ここは3ヶ月検診なのに。もはや、テンパリも異常である。  ここに来ている赤ちゃんは、私もあの子もその子も3ヶ月なのに……。でも、そのくらい緊張していたのだ。そこでいぶかしげな眼差しを向けることなく、天使の微笑みで「3ヶ月です」と答えてくれた優しいママと、今も仲良くさせてもらっている。ホント、どこに縁があるかなんてわかったもんじゃない。

保育園のやっかいなポイント制

 その後、3度の引越しを経て、実家の近くの認可保育園に入園させた。当時は別居状態だったので、保育園の入園ポイントがひとつあがったのだ。  まったく、このポイント制はやっかいである。フリーランスの仕事なんて、それこそ保育園に子どもを預けないと仕事が出来ないのに、フリーランスや自営業となると「家で仕事してるなら見れるでしょ」くらいな扱いなのだ。  おい! 役所! フリーランスだからガムシャラに仕事しないと食べていけないのにそりゃないだろう! と心の中で何度叫んだことか。あくまでも心の中で。実際に噛み付くほど、気と心は強くない。

リフォームの救世主! ママ友・Nさん

 そして無事入園した保育園でもたくさんの面白いママ友に出会うことが出来た。その話はまた別コラムで紹介するとして、家のリフォームで思い浮かんだのが、この保育園で出会ったNさんというママ友だ。  Nさんとは、行き帰りの時間がたまに一緒になるくらいで、あいさつ程度の仲だった。でも、ある拍子で、そのママ友の旦那さんが壁紙を貼るお仕事を自営でされているというのを聞いた気がしたのだ。人間、情報力と記憶力って大事!  そこで、保育園ではちあわせたNさんに、「そういえば旦那さん、壁紙のお仕事って言ってたよね?」と聞くと、奥さんがいきなりまくし立ててきた。「そうよ。なに、リフォームしてるの? それならウチが安くやるよ! さぁ、いつにする?」 【シングルマザー、家を買う/11章・後編】 こやつ、商人の嫁や……。間違いなく、商人と書いて“あきんど”と読む男の嫁や!  そこで、Nさん立会いの下、壁紙を貼ってもらうことにした。金額も、個人でやっている分、かなり低価格にしてくれたのだ。また足を向けて眠れない人が増えた。これで、あの土壁ともさらばだ。なぜか目が充血する土壁とももうさよならすることができるのだ!  そんな感動に打ち震えていると、Nさんの旦那さんは、家の状態を確認して、仕事仲間である自営の大工さんと、同じく自営の設計士さんを紹介してくれるというのだ。この3人にお願いすれば、リフォームの仲介手数料が発生しない。たしかに、私の仕事も編集プロダクションを経由すると高額になるが、私が直接依頼されるとその半額以下でお仕事を請けることができる。それと一緒の仕組みだ。自営バンザイ! 仲介手数料、怖い!  そこで紹介してくれた設計士と大工さんは、私の予想を超えるすごいキャラクターの持ち主だった。私はこの出会いを忘れることはないだろう。そして、その話は次の話にでも。 <TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【吉田可奈 プロフィール】 80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、音楽ライターを目指し出版社に入社。その後独立しフリーライターへ。現在は西野カナなどのオフィシャルライターを務め、音楽雑誌やファッション雑誌、育児雑誌や健康雑誌などの執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘はネットで見かけた名言“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky) ※このエッセイは毎週水曜日に配信予定です。
吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、出版社に入社、その後独立しフリーライターに。音楽雑誌やファッション雑誌などなどで執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。長男に発達障害、そして知的障害があることがわかる。著書『シングルマザー、家を買う』『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』Twitter(@knysd1980
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シングルマザー、家を買う

年収200万円、バツイチ、子供に発達障がい……でも、マイホームは買える!

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