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『半沢直樹』、銀行員から見た「ありえない」ポイント

 この夏のドラマの中で、最も注目の的といえば『半沢直樹』(TBS系、日曜午後9時~)ではないでしょうか。第1話は平均視聴率19.4%、続く第2話も3連休の中日であるにもかかわらず21.8%を記録、回を追うごとに話題になっているようです。

日曜劇場『半沢直樹』,TBSテレビ

公式サイトより

 ドラマは、堺雅人演じるメガバンクの融資課長「半沢直樹」が銀行の内外に現れる敵と戦い、格闘していく物語。半沢直樹は「やられたら倍返し!」をモットーにする“型破り”のバンカー。……そう、“型破り”。

 銀行ってこんな感じなのか!と思って見ていたけれど、“型破り”とついてるところを見ると、実際は違うのかも!? 原作は旧三菱銀行OBの作家・池井戸潤氏だけにリアルだとはいえ、現実だけではドラマにはならないものです。

 リアル銀行員もよく見ているそうで「社内でも話題になっています。視聴率が高いのは、全国の銀行員が見てるせいじゃないでしょうか(笑)。銀行員って結構人数いるし」。

 そこでメガバンクに勤める銀行員に緊急リサーチ。現役銀行員はどう見ているの?(※「取材を受けてはいけないので年齢・職種も書いてくれるな」との声が多数、さすがお堅い業界です)

5億円であんな大騒ぎにはならない



 第1~2話では、5億円を融資したとたん相手が倒産、半沢直樹らは資金回収に奮闘します。まずは社長が5000万円で買った別荘の差し押さえをめぐり、国税とのバトルが……。ところがリアル銀行員から一番多く出たのは、この金額についての「ありえない」の声。

「5億であんな大事件になるなんて普通はない。ドラマを見てた銀行員みんな思ったんじゃないでしょうか(笑)。やっぱり”億”がつくと世間的には印象が違うんだろうね、と同僚と話題になりました」

「5億取り逃がすぐらいで、責任を追及されてあんな仕打ちをされることはない。5億であれだったら、銀行をクビになってる人が世の中にうじゃうじゃいると思う」

半沢直樹はそもそも課長になれない



 半沢直樹は1992年入社の融資課長という設定ですが、上司に容赦なく噛みつく課長はドラマならでは。普通の会社でもありえないのに、ましてや銀行ではありえないと言います。

「銀行に入ったとき、つまんない人ばっかりだなと思いました。社歴が長いほど、世渡り上手。特に支店長は絶対ですから、面と向って反論するなんてありえないです。上司に異論があるなら、根回しをして『みんなこう言ってますから』と、やんわり進めるのが普通です。

 半沢直樹みたいな人がいれば、課長になる前に、とっくに協力会社とかに出向になっているはずです」

「あんな優秀な課長はいないし、デキた部下もいない。堺雅人みたいな課長がいたら喜んで会社通うのに」

 まあ、ありえないからこそ、世のサラリーマンが喝采するわけですけれど。

とはいえ「バンカーあるある」も



 ありえないという声の一方で、リアルで「見ててイライラする」という銀行員の声もありました。

「ドラマの中で『粉飾』の説明をわざわざしていた事にビックリした。銀行と取引していて粉飾を知らない人なんていないと思うので…。医療ドラマや刑事ドラマでも、その世界では当たり前の言葉がわざわざ説明されてたりするんだろうなあと思った」

「コピー機を改造する場面で、庶務さんが呼ばれていたのがすごい笑った。どの銀行も同じなのかわかりませんが、うちも困ったことがあれば庶務さんに頼むので。芸が細かいなあと」

「人事かなんかの偉い人が怒りながら机をバンバン叩くシーン、うちの上司も機嫌悪いときにやるので見ててすごいイライラした」

見ていると辛くなる……でも現実はもっとひどい



 また、ドラマを観た他業界の人が、銀行員に「半沢直樹」の話をしにくる人も多いようで……。

「銀行を辞めた同僚が『あのドラマを見てると銀行員時代を思いだして鬱になる』と言っていた。私は笑い飛ばしながら見ていたので、現役銀行員より辞めた人の方が見てて辛いのかも」

「母が『自分の子がこんなところで働いていると思うと見ていられない』と言っていた。現実はもっとひどいなんて言えなかった」

「彼氏が銀行員。ひどく疲れた様子のときがあるので、優しくしてあげようと思った」

「今クールのTBSのドラマ『なるようになるさ』で、引きこもりの男の子が銀行になじめなくて辞めた設定だったらしく、他の会社に勤める友人が「『半沢直樹』を見たあとだと、銀行は怖いところだからなじめなくても仕方がない!と思ったけど、実際どう?」と聞いてきた」

「OLの友だちから、『銀行員ってカッコイイんだね!誰か紹介して!』と言われた。カッコイイのは銀行員じゃなくて堺雅人だと思うけど……」


 実際にはドラマより大変な世界だよ……と含みをもって話すバンカーもチラホラ。しかし、みんな揃って、その中身について詳しく語りたがらないあたり、見えないドロっとしたものを感じてしまうから怖い……。 <TEXT/高野萌奈>




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