AVから「イイ女」の技を盗め!エロテクを磨くより大事なこと
――どうしてそんな“女性が頑張る”ムードになってしまったのでしょうか?
安田:アダルトメディアが充実しすぎて、男性がそこで満足してしまっている部分はあるんじゃないのかな。昔はモテない男ほど女の子に気に入られようとしてアレコレ頑張っていたけれど、今はそんなことしなくてもかんたんに満たされる術がいくらでもあるから、すぐにあきらめちゃうんだと思います。
思い通りにいかない現実世界の女性より、二次元の女性のほうがより理想を叶えてくれるじゃない。
“男の考えるイイ女”を男が演出しているから男の中ですべてが完結していて、女性の必要性が薄らいでいる。いき着く先はそこなんじゃないかって、秘かに心配(笑)。
――男性が女性を追わなくなったことが、草食化の始まりなのでしょうか?
安田:草食化といわれているけれど、性に対する興味自体が薄らいでいる感じは受けないんですよね。今は楽しいことがたくさんあるし、それこそスマホで何でもできるから、昔ほど生身の男女関係に執着しなくなったんじゃないかな。
精力がなくなったんじゃなくて、男性力が弱まったんだと思います。
あと、アダルトメディアのサービスが良くなったことで男の逃げ場が充実して、現実の女性が面倒くさく感じるようになったことも一因かと。女って面倒くさいじゃん(笑)。本来ならそれが醍醐味なんだけど、そこを避けて自分に都合のいい世界に浸る男性が増えてきているのかもね。
――男性力を取り戻すために女性ができることってありますか?
安田:男性が追わなくなったことで女性が頑張るようになって、AVをみて真似てってなるんだろうけど、同じ観るならAVのまんま鵜呑みにするんじゃなくて、もっとメンタル的な部分を参考にしたほうがいいと思います。
男性も女性も、相手の反応っていちばん好きでしょ。
行為に限らず、何事も。相手が喜んでいる、楽しんでいるというのを感じられるのは関係性において大切なことだから、言葉や態度でちゃんと示したり、一緒に楽しんでいることを伝えたり、ひとつひとつの出来事に恥ずかしがらず反応することですね。
AVの動向をみていても、今は男性のエゴに主体をおいたモノより、互いに満たし合うような作品のほうが多いんです。AV女優さんたちもそのあたりをすごく意識しているから、相手に対する反応はとても丁寧に描いてますよ。
<TEXT・PHOTO/千葉こころ PHOTO/Rui G. Santos >
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●安田理央さん プロフィール
1967年埼玉県生まれ。ライター、アダルトメディア研究科。主にアダルトテーマ全般を中心に執筆しながら、AV監督としても活動。中でもエロとデジタルメディアとの関わりに注目している。著書に『日本縦断フーゾクの旅』(二見書房)『エロの敵』(雨宮まみとの共著、翔泳社)など。http://rioysd.hateblo.jp/
男性の草食化を招いた“男性力の低下”
千葉こころ
自由とビールとMr.Childrenをこよなく愛するアラフィフライター&編集者。
人生後半戦も夢だけは大きく徒然滑走中
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