その一例として本書が挙げるのは、2歳の息子を持つ30代男性。家事・育児はもちろん、深夜には妻へのマッサージをしながら、「週休0日で16時間働きづめの365日」を繰り返した挙句、仕事がまともに手につかなくなり、ついには配置転換されてしまったといいます。
それでも妻は容赦しません。マッサージ中にうとうとすると、夫を叱り飛ばすのだそう。人生を呪いたくなる瞬間かもしれません。
「こんなの極端な例だ」「働くママはイクメンよりずっと大変だ」という女性たちのブーイングが聞こえてきそうですが、本書でも、家事・育児をしない夫に「殺意さえ覚える」妻の例が取り上げられています。そうして夫婦がお互いに怒りを抱えている現状こそ、今の育児の不幸でしょう。

そもそも、“仕事も育児も100%”と考える方が無理なのではないでしょうか。仕事の片手間にやれるほど甘くない。子育ては、キャリアアップ以上の大事業のはず。
「何かをつかむためには、一度何かを手離さなければならない」と、著者は訴えます。育児に集中している間は、ある程度仕事をあきらめざるを得ないのだと。
ただ、いったん仕事を手離したところで、また元のように戻れる職場ばかりなのでしょうか。しかも、そこまで思い切った決断をできる男性が、どれほどいるというのでしょうか。肝心なところで、著者は精神論に走ってしまいます。
<国や制度が世の中を変えてくれるのを待つのではなく、変化の主体は自分でなければいけない。(中略)
自分が少し変われば未来も少し変わる。現在の当事者がみんなで少しずつ変われば、未来はきっと大きく変わる。>
(第4章 会社の本音)
自ら変化を起こす勇気のある人間が、奥さんにどやされながら夜遅くまでマッサージをするでしょうか? こういった“頑張ればなんとなかる”的なエールこそ、彼らを苦しめる「マッチョイズム」そのものなのではないでしょうか。
<TEXT/女子SPA!編集部>
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