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「泉ピン子に似てる」と言われた小3の娘の意外な反応【シングルマザー、家を買う/59章】

「泉…ピン子です…」

 娘はスズランテープで作った腰みのをつけ、王冠をしてマラカスを持ち、立ち尽くしていた。  ちょっと、いや…かなり意味が分からない。  少しの恐怖さえ感じながら、「ね、ねぇ……。その恰好はなんなの?」と聞いてみると、小さくこうつぶやいたのだ。 「泉……ピン子です……」 ⇒【画像】はコチラ http://joshi-spa.jp/?attachment_id=589856 シングルマザー、家を買う/59章_2 耳を疑った。  娘はこの2時間で必死に自分が60才ほど年上のピン子であることを受け止め、そして冷静に自分が思うピン子像を作り上げてきたのだ。全く仕上がっていないけど、気持ちだけは伝わってくる。  私は必死に笑いをこらえ、肩を揺らしながら、「ふぉっ……そ、そうか。すごくいいピン子だと思うよ……」と親指を立てると、娘もにっこりと笑い、いつも通り踊り出した。娘は機嫌がよくなるとなぜか踊り出すのだ。  よし、壁は超えたらしい。きっと、こうやって大人への階段をひとつずつ上っていくのだろう。  その日、私は確信した。娘はもう、人生を三枚目路線で行くのだということを。  合コンで笑いを取りに行き、変な達成感を感じ、異常に張り切るあのタイプ……。まさに過去の私……。  こんなところで、母娘であることを改めて実感したのであった。 <TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【吉田可奈 プロフィール】 80年生まれ、フリーライター。西野カナなどのオフィシャルライターを務める他、さまざまな雑誌で執筆。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘は“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky※このエッセイは隔週水曜日に配信予定です。
吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、出版社に入社、その後独立しフリーライターに。音楽雑誌やファッション雑誌などなどで執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。長男に発達障害、そして知的障害があることがわかる。著書『シングルマザー、家を買う』『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』Twitter(@knysd1980
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