「泉ピン子に似てる」と言われた小3の娘の意外な反応【シングルマザー、家を買う/59章】
「泉…ピン子です…」
耳を疑った。
娘はこの2時間で必死に自分が60才ほど年上のピン子であることを受け止め、そして冷静に自分が思うピン子像を作り上げてきたのだ。全く仕上がっていないけど、気持ちだけは伝わってくる。
私は必死に笑いをこらえ、肩を揺らしながら、「ふぉっ……そ、そうか。すごくいいピン子だと思うよ……」と親指を立てると、娘もにっこりと笑い、いつも通り踊り出した。娘は機嫌がよくなるとなぜか踊り出すのだ。
よし、壁は超えたらしい。きっと、こうやって大人への階段をひとつずつ上っていくのだろう。
その日、私は確信した。娘はもう、人生を三枚目路線で行くのだということを。
合コンで笑いを取りに行き、変な達成感を感じ、異常に張り切るあのタイプ……。まさに過去の私……。
こんなところで、母娘であることを改めて実感したのであった。
<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>
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【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ、フリーライター。西野カナなどのオフィシャルライターを務める他、さまざまな雑誌で執筆。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘は“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(@singlemother_ky)
- ママ。80年生まれの松坂世代。フリーライターのシングルマザー。逆境にやたらと強い一家の大黒柱。
- 娘(8歳)。しっかり者でおませな小学3年生。イケメンの判断が非常に厳しい。
- 息子(5歳)。天使の微笑みを武器に持つ天然の人たらし。表出性言語障がいのハンデをものともせず保育園では人気者
吉田可奈
80年生まれ。CDショップのバイヤーを経て、出版社に入社、その後独立しフリーライターに。音楽雑誌やファッション雑誌などなどで執筆を手がける。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。長男に発達障害、そして知的障害があることがわかる。著書『シングルマザー、家を買う』『うちの子、へん? 発達障害・知的障害の子と生きる』Twitter(@knysd1980)
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