娘はスズランテープで作った腰みのをつけ、王冠をしてマラカスを持ち、立ち尽くしていた。
ちょっと、いや…かなり意味が分からない。
少しの恐怖さえ感じながら、「ね、ねぇ……。その恰好はなんなの?」と聞いてみると、小さくこうつぶやいたのだ。
「泉……ピン子です……」
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耳を疑った。
娘はこの2時間で必死に自分が60才ほど年上のピン子であることを受け止め、そして冷静に自分が思うピン子像を作り上げてきたのだ。全く仕上がっていないけど、気持ちだけは伝わってくる。
私は必死に笑いをこらえ、肩を揺らしながら、「ふぉっ……そ、そうか。すごくいいピン子だと思うよ……」と親指を立てると、娘もにっこりと笑い、いつも通り踊り出した。娘は機嫌がよくなるとなぜか踊り出すのだ。
よし、壁は超えたらしい。きっと、こうやって大人への階段をひとつずつ上っていくのだろう。
その日、私は確信した。娘はもう、人生を三枚目路線で行くのだということを。
合コンで笑いを取りに行き、変な達成感を感じ、異常に張り切るあのタイプ……。まさに過去の私……。
こんなところで、母娘であることを改めて実感したのであった。
<TEXT/吉田可奈 ILLUSTRATION/ワタナベチヒロ>
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【吉田可奈 プロフィール】
80年生まれ、フリーライター。西野カナなどのオフィシャルライターを務める他、さまざまな雑誌で執筆。23歳で結婚し娘と息子を授かるも、29歳で離婚。座右の銘は“死ぬこと以外、かすり傷”。Twitter(
@singlemother_ky)

- ママ。80年生まれの松坂世代。フリーライターのシングルマザー。逆境にやたらと強い一家の大黒柱。

- 娘(8歳)。しっかり者でおませな小学3年生。イケメンの判断が非常に厳しい。

- 息子(5歳)。天使の微笑みを武器に持つ天然の人たらし。表出性言語障がいのハンデをものともせず保育園では人気者
※このエッセイは隔週水曜日に配信予定です。