おじさまは私と結婚したがっている……だが、しかし!
お酒も入り饒舌になってきたおじ様は、なんと私がどうこうする前に、口説きモードに入ってきました!

「もうこの歳だからさ~、今から子供を作ろうとかは思わないけど、子供は育ててみたいから、志乃みたいに小さい子供がいるシングルマザーがいいかなーと思ってるんだよね」
「イチから恋愛とかも面倒くさいし、志乃みたいなシングルマザーが楽でいいんだよね~」
「20代とか若い子とは話も合わないし、志乃くらいの年齢がちょうどいいんだよね~」
「しかもさ~娘ちゃんみたいに可愛い女の子がいたら最高だよね~」
「でも子供が大きいと、俺を受け入れてくれないかもしれないけど、娘ちゃんくらい小さい(当時2才)と記憶も曖昧だろうから父親になれるかもしれないし……」
と、とにかく、私も怖気づいてしまうくらいの「志乃くらいがちょうどいい!」というテーマの必死のプレゼンが続きました。どうやら私と結婚がしたい模様。シングルマザーの私を受け入れてくれているんです。
……でもちょっと待ってください。私が欲しいのは精子だけ。結婚は、別に望んでいないんです!

娘と一緒に遊園地です
どうにか結婚は諦めてもわないと……。瞬時にして思いついた答えを伝えました。「でもさ、娘が20才になるまで元気に生きてる可能性低くない?しかも私、親の介護もしてるのに旦那の介護まで無理なんだけど(笑)」
ところが、「でもお金はあるよ!」とおじさまは諦めません。
「だから、私が欲しいのはお金じゃなくて子供! 子供だけ作ろうよ!」
そう強気に出たところ、まさかの「あー俺、多分精子いないよ」。
「な、なにィーーーーー!!!!」
私の目論見が全て外れた瞬間でした。こんなにガッカリしたのは久しぶりです。種なし、結婚願望ありはいくら金持ちであっても対象外です。
どなたか、「活きのいい精子を持つ男」と「結婚を望まない男」の見分けを教えてください。
<TEXT/杉沢志乃>
【杉沢志乃(すぎさわしの)】
35歳。東京生まれ。ナンバーワンホステス時代に独学で行政書士試験に合格。25歳で小説『キャバクラ嬢行政書士の事件簿』(ゴマブックス)を出版し、翌年『キャバギョ!』でDVD化。以後シリーズ3まで出版。映像メーカー広報部を経て、現在は女性向け映像メーカー「
ラ・コビルナ」の代表取締役社長となる