『ゴースト・イン・ザ・シェル』アメリカでブーイングが起きたワケ
全米公開から1週間遅れて日本公開された『ゴースト・イン・ザ・シェル』。世界各国で熱狂的なファンを生み出した日本の人気コミック『攻殻機動隊』をハリウッドが実写化するとあって、製作前から注目度の高かった作品です。
公開から数週間、どうやら日米で作品に対するリアクションに大きな差があることが分かってきました。
日本の人気コミックをハリウッドがどう料理してくるのか、公開前の日本ファンの期待は計り知れないものがあったようですが、結果としては「原作やアニメ版の監督押井守へのリスペクトが半端ない」と、おおむね好評なようです。
『ハリウッドリポーター Hollywood Reporter』は、「日本ではアニメの世界感を忠実に再構築したクールなビジュアルがウケているようだ」と分析。クオリティの高いビジュアルを評価する声や、主演のスカーレット・ヨハンソン(32歳)の熱演を褒める日本の観客の声を掲載しています。
また「世界のキタノ」や桃井かおりの出演も本作の見どころのひとつ。ビートたけしは日本語しか喋らない役どころではあるものの主人公を影で支える重要なキャラクターとして大活躍、桃井もキーパーソンとして存在感のある演技を披露、日本の観客を十分満足させる内容になっていました。
ところが、米国での公開初日から3日間の興行収入は約2億円と伸び悩み、3週経った今も約4億円止まり。同じ週に公開された新作アニメ「ザ・ボスベイビー(原題)」が公開から3日で約5億円を叩き出しているのと比べればその差は一目瞭然です。
敗因は今アメリカで大問題となっている「ホワイトウォッシング」。
原作リスペクト&「世界のキタノ」活躍で日本ファン大満足!
アメリカでの評判はいまいち……その真相は?
「ホワイトウォッシング」とは、白人以外のキャラクターを白人が演じること。今年2月には人気モデルのカーリー・クロス(24歳)が米『ヴォーグ VOGUE』で披露した芸者風の写真が米国内で叩かれ、当人がツイッターで謝罪コメントを発表したことも話題になりました。 日本人にはピンと来ないかもしれませんが、アメリカではこうした異文化の商業的乱用や、マジョリティの側に立つもの(白人)がマイノリティ(黒人やアジア人など)の仕事を奪うことに敏感。 特に移民排除に積極的でマジョリティの権限を守ろうとするトランプ政権が誕生してからは、一層深刻な問題になったような気がします。Emma Stone, Scarlett Johansson, and Tilda Swinton turn to Karlie Kloss. "Your turn, girl."
— Ira Madison III (@ira) 2017年2月14日
Karlie on phone: "Hello, Vogue? Make me Asian." pic.twitter.com/zgUWIB022Q
そんな背景もあって、本作でも日本人役 に白人のスカヨハをキャスティングしたことで議論が巻き起こったというワケ。 『スレート Slate』によると、配給会社のプロデューサーも「ホワイトウォッシング」を巡る騒動が明確な敗因となったと認めているそうです。Karlie for Vogue US – March 2017 pic.twitter.com/Pbo9rssT8p
— bestkkpics (@bestkkpics) 2017年2月14日
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