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夜のスマホ断ちで眠りが変わった!特に危ない、子供の“SNS漬け”

ネットをやらないデザイナー、ブルネロ・クチネリ氏の金言

 普段ネットもやらず、パソコンすら持っていないという変わり者のイタリア人デザイナー、ブルネロ・クチネリ(64)が面白いことを言っていました。
「誰が昨日送ったメールのことなんて覚えているんだい? そんなのみんな忘れちゃうんだよ。ハドリアヌス帝が言っていた通り、“日々の生活や雑務が人間をダメにする”んだ」 (「Interview with Brunello Cucinelli, King of Cashmere」PICO by Om Malikより 筆者訳)  先程の繰り返しになりますが、“日々の雑務”それ自体に何の価値もないと言っているのではありません。だけど、それに忙殺されるあまりに、大局的な視点を失ってしまっては元も子もない。なんでもかんでもオンラインで済ます現代社会では、ことさら気をつけるべきである。クチネリ氏はそう言っているのですね。  モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンのような巨大な企業体の形を取らず、労働者の人間的な尊厳をもとにした“新しい資本主義”を実践することでラグジュアリーブランドとしての地位を確立したクチネリ氏。  生まれ故郷の村に本社や工場だけでなく、学校から劇場まで作ってしまった壮大なビジョンは、この何もしない時間がなければ生まれなかったでしょう。

つまらないことも大事なことも、いらないかも

 こうしてみると、スマホやSNSがもたらす快楽には、どこか人を悪酔いさせる要素があるように感じます。ちょっと頭を冷やして考えればほとんど時間のムダだと分かるのに、なぜか熱中してしまう。  でも人って昔からそんなものなのかもしれませんね。最後にこの文章をご紹介しましょう。ネットもスマホもなかった時代に書かれたものです。 <やり甲斐ある仕事や、面白い人や、貴重な持ちものが多過ぎる。 なぜなら、つまらないことだけでなくて、重要なことも我々の生活を邪魔するからである。> (『海からの贈物』 著:アン・モロウ・リンドバーグ 訳:吉田健一 新潮文庫刊 p.115)  スマホをいじりすぎて腱鞘炎(けんしょうえん)になる前に、思い出したい言葉です。 <TEXT/石黒隆之> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
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