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レイプ被害を訴えた伊藤詩織さんに聞く。なぜ大半が泣き寝入りするしかないのか

その時「ノー」と言えば拒否。前後は関係ないはず

草薙:これはレイプの定義に関わると思うんですが――仮に自分でホテルに行ったり、キスまでしたとしても、いざ性行為の場面で「嫌だ」「やめて」と言えばノーですよね?  ノーと言ったのに性行為をされれば、それはレイプですよね? 伊藤詩織さん3伊藤:もちろんそうだと思います。この間もイタリア人の記者の方から、どこまでのポイントでノーと言えるか、という質問がありました。それはいつでもノーと言えます。ノーと言うのは自分の権利ですから。  でも、私の場合は記憶がありませんし、イエスかノーか答えるような場面そのものがなかったのです。 草薙:詩織さんは本の中で、意識を取り戻してから「何度も『やめて下さい』と言った」「ベッドに引きずり戻された」「抵抗してもみ合った」等々と書いていますよね。  山口氏が言う「詩織さんが勝手に酔っぱらって、歩いてホテルに入った」のが仮に事実だとしても、意識が戻ってから性行為を「やめてください」と抵抗したのなら、「合意はなかった」のではないでしょうか?  ところが反論文の中では「ここから先、何が起きたかは、敢えて触れないこととします。あなたの行動や態度を詳述することは、あなたを傷つけることになるからです」として、書いていない。詩織さんの本が出た後の反論動画でも、その点は触れていません。 「詩織さんは被害者ではない」と言うのであれば、「僕は、やめてくださいなんて言われていません」と主張すべきで、そうじゃないところがとても不思議な気がします。 (※編集部注:今回、山口氏に以下の点を質問しました。 ①詩織さんの書籍の、意識が戻ってから拒否・抵抗した詳細な記述は、彼女の創作だと考えるのか? ②この記述が事実なら「合意があった」とは言えないが、この核心部分に反論しないのはなぜか?  ですが、回答はありませんでした)

警察は「よくある話だし、難しいですよ」

伊藤:でも、その言葉が通ってしまうのが今の日本の司法システムなんだと思います。  日本の刑法では、合意ではなく「暴行・脅迫があった」ということを、結局は被害者が証明しなければならなくなってしまうんですね。  でも、ある調査(※)では、性暴力をふるわれそうになると、約7割の被害者は恐怖で体がフリーズして抵抗できなくなってしまう、と。それなのに被害者が「内心は合意していなかった」ことを証明しなければいけない。  これは本当に厳しい現実だと思います。 草薙:だから、警察は詩織さんに「よくある話だし、事件として捜査するのは難しいですよ」と言い、被害届を出さないように説得しようとした。  また、男性捜査員たちの前で、ホテルでのシーンを人形相手に再現……ちょっと耐えられない屈辱ですよね。 ※ スウェーデンの「レイプ救急センター」調べ (※後編は近日公開予定) <TEXT/ジャーナリスト・草薙厚子、女子SPA!編集部 Photo/我妻慶一>
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