草薙:山口氏は「月刊Hanada」で反論文を発表しました。あれは詩織さんの本が出る前に書かれていますね。お読みになってどう感じましたか?
伊藤:私への手紙風になっていたのは、嫌でしたね…。
もし反論したいのであれば、私の書いたことを読んでから書けばよいのに、そこを無視して書いているのが不思議に思いました。
草薙:たとえば、山口氏は別件で2015年4月23日にワシントン支局長を解任されますが、その噂が出始めた4月18日の詩織さんのメールから「急にレイプだと言いだした」としています。
でも詩織さんは、すでに4月9日に警察に行ったと本に書いてある。
あと、「彼女は、都合が悪いから隠している」と山口氏が指摘した事実が、みんな詩織さんの本には書いてありますよね(笑)。
伊藤:私に対しての人格否定みたいな部分もあって、それには驚きました。残念ですよね。
ただ私は、彼を敵だと思っているわけではないし、彼と闘っているわけでもないのです。山口氏を裁くのは私ではなく、司法のすべきことです。しかし
逮捕が突然見送られ、司法システムが正当に働いていないと感じたから、私自身が出なければならなかった。
性暴力は絶対に起きてはいけないし、司法を含めた性犯罪に対する日本のシステムを変えたいだけです。向き合っている場所が全く違うなと思いました。
『月刊Hanada』花田紀凱編集長(左)のネット番組「ちょっと右寄りですが…」で伊藤さんに反論する山口氏(中央)。動画は数本あり、山口氏は伊藤さんの本を「読んでない」という。伊藤さんの本と、この動画を見比べて、人間の品性について思いを馳せてほしい…
草薙:私が驚いたのは、山口氏が「私があなたに初めて会ったとき、あなたはキャバクラ嬢でしたね」と書いている。その店は学費稼ぎのバイトの一つですよね。
また、反論動画で詩織さんの経歴・学歴を「知らない」と。詩織さんは履歴書も送っているのに、山口氏はホントに採用の話で詩織さんと会ったのか? と疑問に感じました。
伊藤:キャバクラ嬢に限らず、今回の件を公表してから、私に関して色んな情報が飛びかいました。北朝鮮のスパイだとか、左翼だとか。SM嬢っていうのもありましたね。
すべて事実ではありませんが、仮にそのどれかに当てはまろうと、全く関係のない話です。誰であっても性暴力を受けていいはずはないんですから。