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レイプ被害を訴えた伊藤詩織さんに聞く。なぜ大半が泣き寝入りするしかないのか

「レイプ被害を受けた」として、ジャーナリストの伊藤詩織さん(28)が上梓したノンフィクション『Black Box』(10月18日刊行)。

 相手男性、警察、検察などとの生々しいやりとりが記され、誰も助けてくれない状況は読んでいてゾッとします。

BLACK BOX

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 一方、相手男性の元TBSワシントン支局長・山口敬之氏(51)は不起訴が確定し、雑誌『月刊Hanada』12月号(10月27日発売)で反論。性行為は認めながらも「法に触れることは一切していない」としています。

 どちらの主張が事実なのか、私たちにはわかりません。

 ですが、日本では性犯罪被害者のうち、警察に相談に行った人はたったの4.3%(2014年、内閣府調べ)。ほとんどが“泣き寝入り”しているわけで、何か大きな問題があるのは間違いありません。

 そこで、ジャーナリストの草薙厚子さんが、伊藤さんにインタビューを行いました。今回から2回にわたり、そのインタビュー内容をお伝えします。

伊藤詩織さん1=====<ことの経緯>========
 ニューヨークの大学でジャーナリズムを勉強していた詩織さんは、2013年頃、TBSワシントン支局長の山口敬之氏(当時)と知り合う。2015年4月3日、同支局での採用・ビザについて相談するため山口氏から誘われて、東京で会食した。

 ところが、2軒目で詩織さんは突然記憶を失う。下腹部の激しい痛みで意識が戻ったときには、山口氏のホテルの部屋で上に乗られている状態だった。詩織さんによると、激しく抵抗したがコンドームもなしで行為が行われていた。

 その後、詩織さんは警察に被害届を提出し、準強姦容疑で逮捕状が出されるが、当日になって刑事部長の判断でストップがかかる。2016年7月に「嫌疑不十分」として不起訴に。

 一方の山口氏は、「犯罪行為はなかった」(つまり合意の性交だった)と主張。一般国民から選ばれた11人による検察審査会でも「不起訴相当」となったことから、「私を犯罪者にしようとするあなた(詩織さん)の企ては失敗した」と結論づけた。

 詩織さんは真相究明を求めて、今年9月28日、東京地裁に民事訴訟を起こした。
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女性から「自業自得」との声が出る不思議



草薙:日本外国特派員協会の記者会見(10月24日)でも、「なぜ日本では、女性が詩織さんを応援する動きがないのか」という主旨の質問がありましたね。なぜだと思いますか?

伊藤:そうですね……数日前に40代後半の女性から「応援したかったけれども、周囲からプレッシャーを受けるのではないかと思って応援できなかった」と言われました。最近になって、「実は私もレイプ被害者です」という声も頂きます。

 でも本を出した当初は、女性からのネガティブな意見も多かったです。年配の方かと思いますが、「私は、飲みに行く人も場所も時間も選ぶし、そう育てられてきた。あなたは自業自得だ」とか。

 なかには「レイプが事実だったとしても、男性がかわいそう」という手紙もありました。それにはすごくびっくりしましたね。

草薙:「事実だったとしても」!? それは視点が違うように思いますよね。

伊藤:性暴力の話ではなく、「女性の振る舞いとしてダメだ」と。それらを読んでいると、「女性は、目上の男性に意見したり対立してはいけない」と言われてきた世代の方々なんだろうなという印象を受けました。

 また、今年5月に初めて会見した当初は、「単なる男女のゴシップだ」とか「政治的なことだ(編集部注:安倍総理と親しい山口氏を貶めようとする野党の陰謀だ、的な見方)」と言われることも多かったんです。

 でも時間をかけて今ようやく、私が言いたいのは性暴力や法改正の話だ、っていうことがクリアになってきて、話がしやすくなってきたんですね。

草薙:まさに今、ハリウッドでのセクハラ問題をきっかけに、性犯罪被害を受けた女性・男性が声を挙げ始めていますよね。

伊藤:# Me Too(私も)と声をあげるムーブメントが起きていたり。今まで話しても聞いてもらえない状況だったのが、ようやく大きな波となってきたのを感じますね。

 でも、日本にはまだまだ、そういうことは言いづらい社会的な構造があるし、環境が整っていないと感じます。

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山口氏の反論に「彼と闘っているわけではない」

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