――膣圧だけでセックスの良し悪しは決められないということですね。 関口「最近はやたらと膣圧の高さを気にする女性が増えていますが、膣圧が高いからいい、低いからよくないというものではありません。女性の刺激チャンネルはたくさんあって、腟内以外でも快感を得ることができるので、膣圧が性的満足度の全てを司るわけではないんです。 　尿漏れなどのトラブルを招かないために骨盤底筋の衰えを意識することは大切ですが、必要以上に気にしないようにしてほしいと思います」 ――ただ、出産を機にセックスレスになる夫婦も少なくないようです。膣圧以外の原因では何が考えられますか？ 関口「出産後の女性はホルモンの影響で性欲が湧きにくく、誘われてもその気になれないということがよくあるので、セックスレスになりやすいということは考えられますね。通常は授乳が終わったくらいに女性の性欲も戻るので、原因が女性側にある場合は、その段階でセックスレスも解消できるでしょう。 　ただ、女性の場合はメンタル的なことも大きく影響するので、パートナーに嫌悪感を抱いているなどの場合は、そのままセックスレスが継続する可能性もありますが……。ちなみに、男性の性欲は、1日1回はエッチなことを考えるのが正常と言われています。女性の場合は、欲求が常に高くても正常だし、普段はまったくなくても、異性から誘われて湧いてくるなら正常とされています。 　ただ、パートナーに誘われて応じたい気持ちもあるのに欲求が湧いてこないなどの場合は、性機能障害に対応している婦人科や精神科で相談したほうがいいかもしれません」 ――そのほか、医療機関を受診したほうがいい状況などがあれば教えてください。 関口「尿漏れや骨盤臓器脱など、日常生活に支障をきたすなんらかの症状がある場合です。あとは、自身であきらかにゆるいと感じてセックスに満足できない状態が続いていたり、パートナーの言葉などから思い詰めてしまっていたりする場合。 　膣圧測定は診療の一環で使用することがほとんどですが、数値を知るための測定だけも受けられるので、安心材料にしたり、施術をするかどうかの判断基準にしたりすることもできます。一人で思い悩んでいるようなら、相談に来ていただければと思います」 ――医師が教える「膣圧」の正しい知識　vol.2―― ＜文／千葉こころ＞ ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】