「久々に抱き合ったとき、肌が馴染むというか、ああ、懐かしくて新鮮だわと思ったんです。それも彼に言いました。妻という立場ではなく、ひとりの女として彼と抱き合えることがうれしかった」 　ただ、駅で別々の方向の電車に乗ったとき、アイコさんは「やっちまった」と思ったと笑う。 「だって夫の不倫で頭に来て別れたのに、今度は私が人の夫と関係を持ってしまったんですから。これも立派な不倫でしょう？ 何やってるんだろと思いました」 　今も元夫との関係は続いている。娘は部活や友だちとのつきあいが忙しくなって、父親とは月に1回くらいしか会っていないが、その分、アイコさんと元夫との密会は増えている。 「娘と3人で食事をしたとき、『パパとママ、昔みたいに仲がいいね』って。何か感じているんでしょうかね。娘を混乱させるようなことはしたくないけど、私が彼を心から好きだと思っているのは確かです」 　元夫は今の妻と離婚したいと思っているようだが、あちらにも子どもがいる。じっくり考えてからにしたほうがいいとアイコさんはアドバイスしているという。 　元夫との不倫。いけないことをしていると頭ではわかっているが、相手が元夫なだけに、切り刻まれるような罪悪感をもてないと彼女は言う。それも本音だろう。 　離婚して初めて、「妻」としてではなく、ひとりの女として元夫への愛情を再確認したアイコさん。これからどうなるのだろうか。 ＜TEXT／亀山早苗＞ ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】 【亀山早苗】 フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数