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夏休みも部活でヘトヘトな日本の子たち。イタリア流を聞いて驚いた

「人間教育」ではない、ただ楽しむためにやる

 確かに、“部活動でも仲間との友情や絆は育まれる”と言う人もいるでしょう。実際そんな話を子どもから聞いたことがあるかもしれません。でも、なぜか余計な苦労話とセットになってしまう。  著者はここに日本の学校スポーツの問題点を見るのです。競技への理解を深める楽しみよりも、仲間とともに苦労を乗り越えた体験の方が勝ってしまう。これはスポーツに限らず、あらゆる部活動の抱える大きな矛盾かもしれませんね。  そろそろ日本の学校スポーツも、<スポーツはただ純粋に楽しむためにやるものであり、優れた人間になるためにやるものではない>(p.129)という原点に立ち返る時期に来ているのではないでしょうか。  最後に本書を離れて、かつて女子ゴルフで圧倒的な強さを誇ったアニカ・ソレンスタム(47)が娘にあてた手紙をご紹介しましょう。「もしママと同じようにプロゴルファーになりたいと思っても、これだけは知っておいてね」と、次のように言って聞かせます。
アニカ・ソレンスタム

アニカ・ソレンスタム(C) Photogolfer

<お絵かきもピアノもやめないように。水泳もつづけましょうね。バスケにTボール(筆者註・ソフトボールに似た球技)、それにあなたの大好きな乗馬も。ゴルフなら、やりたくなったらいつでも大丈夫。何をするにしても、やりたいことをできる準備を整えておくことが大事なのよ>(Letter to My Daughter 筆者訳)  つまり、やみくもに1つのスポーツを極めて人生を切り開こうとする、そんなバカな真似はしないでね、と言っているのですね。  “一体どうしてウチの子はあんなにヘトヘトなんだろう?”  そう感じたら勇気を持って一息入れさせてあげてはいかがでしょうか。 <文/石黒隆之> ⇒この著者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
石黒隆之
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4
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