壮絶な闘病を笑いとばす「バック・トゥー・ザ・フューチャー」俳優の精神力
タイムマシンに乗り込んだ普通の高校生がタイムスリップするSFアドベンチャー「バック・トゥー・ザ・フューチャー」シリーズ。1980年代に公開されたこの作品は、全米に「フューチャー」現象を巻き起こすほど大ヒット。日本でも幾度となくテレビ放送されており、いまだ多くの人に愛されている名作だ。
そんな「バック・トゥー・ザ・フューチャー」で高校生役を演じたのが、俳優のマイケル・J・フォックス(57)。この人気作で一躍大スターとなったマイケルだが、それ以降は表舞台から一歩引いている。あれからどうなったのだろうか?
映画好きなら知っているだろうが、マイケルは30歳のときにパーキンソン病と診断されている。
1988年に女優のトレイシー・ポランと結婚、1992年にパーキンソン病と診断された。以降、一時酒に溺れたというが、妻トレイシーに叱咤されるのではなく、冷たくあしらわれて禁酒を決心。妻のおかげで酒を断ち切ることができたそうだ。
マイケルは、『エンターテイメント・トゥナイト』で当時を振り返りこう話している。
「起きたら二日酔いの時があって、トレイシーに怒られると思ったんだ」
「でも怒っていなかったよ。退屈した感じだった。僕にとっては、それが何よりも怖かったんだ」
しばらくは病気を隠しながら仕事を続けていたものの、1998年にパーキンソン病であることを公にした。そして、現在は4人の子供の父親であるマイケルは、病気との向き合い方についてこう語る。
「僕は受け入れているんだ。受け入れることは、あきらめることでもあるけど、今どんな状態なのか認識するべきだよ」
「対処して前に進むんだ。そうすると客観視出来る。しょうがないものはしょうがない。僕の人生の99パーセントはパーキンソン病ではなく、ほかのものなんだ。それが僕を忙しくしているし、自分のことを可哀そうと思っている暇もないよ」
病気が判明した当初はどう対処していいかわからず、「酔って現実逃避するほうがずっと楽だった」と語っていたマイケル。一時は酒に溺れた時期もあったようだが、しっかり断酒し、2013年にはテレビドラマに復帰している。 「病気のことで人に同情されるのはまっぴら」と語る通り、病気をポジティブにとらえているマイケル。症状が進行し、自分でコーヒーを運ぶことさえままならなくなった状況について、「笑いが止まらない」と話していたことも。 「実のところ、ほとんどの日で僕の症状について笑いが止まらないんだ。この前なんて朝に僕がキッチンに来てカップに注いでいたんだけど、それ自体がまずちょっと困難だろ。それで両手でカップを持ってたら妻が見ていて、『代わりにやってあげましょうか?』って言ってくれるんだけど、僕は『いや、大丈夫!』って答えたんだ。それで僕はキッチン中にこぼして歩いた跡をつけるわけさ。初めから悪かったけど、悪くなる一方でね。ホットコーヒーが手とか床にこぼれるんだ」 主に、手足がふるえる、動きが遅くなる、筋肉が硬くなる、体のバランスが悪くなるといった症状がでるというパーキンソン病。 しかし、そういった病気を抱えた自分自身について悲観せず、あくまで前向きでいることを心掛けているマイケル。時には、得意のギター演奏を見せることも。
これまで何度か人気グループとステージに上がり、素晴らしいギターのテクニックを披露しファンを沸かせたマイケル。 さらに、パーキンソン病の治療法などをリサーチ・研究することを目的とした基金「The Michael J. Fox Foundation」を設立し、同じ病気を抱える人々を支援している。 「病気を抱えていても自分は大丈夫」そう信じて活躍を続けるその姿は、世界中の人々にとって大きな希望となっている。 <文/BANG SHOWBIZ、女子SPA!編集部>