そもそも事実婚とは、「夫婦関係を形成する意思がお互いあること&夫婦としての共同生活=事実婚している」とみなされるのだそうです。

つまり「婚姻関係の意志」の証明は、法律婚であれば入籍するだけですが、事実婚だとなかなか難しい。住民票を一緒にしていても、片方が勝手に家を出ていき住民票を移してしまったら、その時点で事実婚は解消されたとみなされる場合があるのです。
「事実婚をするのであれば、住民票を同じにし、『妻未届』『夫未届』とすることは重要です。これは事実婚を証明する手段の一つですが、それだけで十分というわけではありません。相手が勝手に出ていった際の生活費や慰謝料などの取り決めをしておくことで、万が一の時、法律が守ってくれない部分を、契約書が守ってくれるのです」
事実婚で契約書を作る意味には、どうしても
立場が弱くなりがちな女性を守る意味も大きいと教えてくれます。
「また不貞行為があって関係を解消する場合や、パートナーが勝手に出ていった場合などは、事実婚関係の不当破棄として慰謝料請求の余地はあります。あわせて子どもの養育費は請求できますが、妻の生活費を請求することはできなくなります。法律婚であれば、たとえ別居していても籍が入っている以上夫婦なので、『婚姻費用分担義務』があり、妻の生活費を請求することができます」
つまり、急に無収入になることを避ける意味でも、契約書でお互いを守っておくことは有効なのです。
事実婚契約書を作成する目的はトラブル防止の意味合いもありますが、もう一つ、
対外的に事実婚関係を証明するという目的もあるそうです。最近では海外赴任に伴うVISA取得に際し、事実婚の契約書を求められた例もあるのだとか。
もちろん契約書があればすぐに事実婚関係が認められるわけではありません。夫婦としての共同生活の実態が必要だからです。ただ、契約書の存在は、事実婚関係を証明する有力な証拠にはなるようです。