香川さんのケースを、「離婚110番」の渋川良幸氏は、次のように分析します。
「DV加害者は、『相手が自分の言いなりになる』と思い込みがちです。ところが、妻が調停を起こしたことで、飼い犬に手を噛まれたような感覚になったのでしょう。最初から、スナック勤務で22歳も年下の香川さんを下に見ていた可能性も大きいですね」(渋川さん、以下同)
DV加害者男性は、結婚前は甘い生活を匂わせたり、愛情表現が熱烈なことも少なくないそう。ですが、結婚後、何らかのきっかけで豹変してしまう。香川さんのケースで、「専業主婦になればいい」という口説き文句は頼れる男に見えますが、それは「食わせてやる」という上から目線と裏腹だったわけです。

「夫からDVを受けて、すぐ逃げ出したり、警察に通報できる人は、多くありません。長い間DV被害に遭いながら、その関係から抜けきれない人が多い。だから問題が深刻なんです」
また、結婚の手本になるような人が身近にいなかったことも、香川さんにとって、不運といえるかもしれません。
「働きづめで、自分なりの理想の結婚に思いを馳せる余裕もなかったのでしょう。芸能人でもいいから、結婚の手本になるカップルを見つけて、自分の結婚観を想定することも大事ですね」
DV夫になる危険を、結婚前に見分けるのは至難のわざ。ですが、あなたを下に見ているような気配がある男は、避けたほうがよさそうです。
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シリーズ・DVを体験した女性たち―
<文/夏目かをる>
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