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幼稚な職場いじめ「お菓子外し」で、退職まで追い込まれた私

 そんなある日、Aのお菓子外しへの執念を感じる出来事が。 「その日はAが手づくりのマフィンを持ってきて、当然のように私以外のみんなに配りだしたんですね。そしたらそこに、みんなに慕われている40代のサバサバした社員女性が通りかかって、彼女にもAがマフィンを渡したんです。すると、私の席の後ろを通ったときに彼女が『あら~、山本さんだけ仕事してるの? はい、コレ食べて少し休んで!』と、私の席にマフィンを置いていったんですマフィン 自分用のマフィンをもうひとつ貰い去っていった社員女性と、デスクの上に置かれたマフィンを交互に眺め、しばしフリーズしてしまったという山本さん。 「久々のお菓子にどうすればいいかわからなくなっちゃって。正直、Aが作ったマフィンなんか食べたくなかったですしね。でも、ここで食べないのはおかしいと考え、手に取ろうとした瞬間、なんとAが私の席に飛んできて……。『コレ、焼きすぎちゃったヤツだ』とマフィンを取り上げその場でもぐもぐ食べ、『でも味は大丈夫だったかな』とか言いながら去っていったんです。私には絶対にお菓子を食べさせまいとするやり口に、唖然(あぜん)としてしまいました」  この一件で、お菓子外しに耐え続けることも、気づいているのかいないのか誰もフォローしてくれないことも、すべてが嫌になったという山本さんは契約途中ながら退職。 「無収入の期間ができてしまい大変でしたが、別の派遣会社に登録して大学の事務職員として働き始めました。もちろん、選んだ決め手は『同世代の女性がいない』ということ。もう、くだらないいじめで精神をすり減らすのはこりごりです」  悩まされる人が少なくないというお菓子外し。実に陰湿です……。 ―シリーズ「いじめ」― <文/鈴木うみこ イラスト/ただりえこ>
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