一方で、離婚が成立したのに出ていかない夫にストレスを溜めているというのはサオリさん(46歳)だ。
結婚して15年、ふたりの子がいるが、5年前、夫がある日突然、会社を辞めて独立。サオリさんは自ら働きながら必死で子どもを育ててきた。
「立ち上げた会社の業績が上がらず、夫は四苦八苦。早いところまたサラリーマンに戻ってほしいという私と毎日ケンカする日々でした。それで、夫が『わかったよ、家族には迷惑かけない。離婚しよう』と言い出して。
住んでいるマンションは私の父が買ってくれたもの。だから一刻も早く出ていってほしいんですが、なかなか次の住まいが見つからない、敷金礼金がないと言って居座っているんです」
追い出すこともできなくはないが、元夫はときどき「オレのせいで迷惑かけてごめん」と素直に謝ったりもするので、サオリさんもコトを荒立てたくないと見守っている状況だ。
娘の誕生日にケーキが置いてあったときは少し複雑な気持ち
「もちろん、洗濯や食事の支度など彼の分はしません。もう離婚しているのだから、寝る部屋を貸しているだけということになっています。
彼は深夜こっそり帰ってきて、朝は私や子どもたちが出かけてから起きてきて仕事に行っているようです。娘の誕生日にテーブルにケーキが置いてあったときは、ちょっと複雑な気持ちでしたけど」
元夫は週末も仕事に出かけていく。そんな父親を子どもたちはどういう目で見ているのだろう。
「娘は淡々と冷静に見ている感じですね。元夫とも顔が合えば話すようですし、『仕事が軌道に乗ったら、また家族に戻ろうってお父さんが言ってたよ』なんてことも言う。
下の息子はまだ10歳なので正確にはわかっていないかもしれません。ただ、離婚届を出すまではかなり壮絶なケンカをしていましたから、そのころに比べれば息子の精神状態も悪くはないですね」
今後、家族がどうなっていくかサオリさんにもわからない。ただ、離婚したからには一度はきちんと別に住んだほうがいいというのが彼女の見解だ。
<文/亀山早苗>
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