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「流産して初めて“お母さん”と呼ばれた」持病で出産できない女性の痛みとは

“お母さん”になれなかった私

 美香さんはやむを得なく、地元の大きな病院の緊急外来へ。貧血でフラフラな体のまま、名前が呼ばれるのを待合室で待機すること3時間。 病院の待合室にいる女性 ようやく名前が呼ばれ、自分の体に起きている事実を知らされた時のことは今でも彼女の胸に傷となって残っています。医師から、「稽留流産(けいりゅうりゅうざん※)ですね。残念ですがお母さん、お腹の子はすでに亡くなっています。」と告げられた時、美香さんはその場で泣き崩れました。 「人生で初めて『お母さん』と呼ばれた時、私の子どもはもうこの世にはいませんでした。妊娠に気づけなかった自分が憎かった。ちゃんと産んであげられないところに来させてしまってごめんねと、何度も天国の我が子に謝りました。」  稽留流産の多くは妊娠12週未満の時期に起こるといわれており、子宮内容物がとどまっている場合は、除去手術が必要となる場合もあります。  実際、美香さんもその後、その手術を行い、2週間の入院を経て退院。体は回復しましたが、心についた傷は消えるどころか、なにげない周囲からの言葉で逆に深くなっていきました。 ※稽留流産「出血や腹痛などのいわゆる流産の徴候がないが、超音波検査で発育が停止(流産)していると診断されるもの(『公益社団法人 日本産婦人科医会』公式サイトより引用)」
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悪気はないかもしれない…でも…
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