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「流産して初めて“お母さん”と呼ばれた」持病で出産できない女性の痛みとは

 近ごろは性別や年齢、結婚の有無に捉われない多様な生き方が広まりつつあります。
悲しむ女性

画像はイメージです(以下同じ)

 しかし、様々な事情から子どもを授かれない女性は「出産」というワードに苦しめられたり、周囲からのなにげない言葉に打ちのめされたりすることも…。そんな子なし女性たちのリアルな声をシリーズで取材していきます。

先天性心疾患で子どものいない人生を覚悟

「私が初めて誰かから“お母さん”と呼ばれたのは、お腹の子を流産したときでした。」  そう打ち明けてくれた金山美香さん(仮名・29歳・フリーランス)は先天性心疾患で、1級の障害者手帳を持っている女性。日常生活は健康な人と大差なく行えていますが、様々なリスクを抱えています。18歳の時に担当医から「流産してしまう可能性が高いし、もし産めたとしても病気が遺伝するリスクがあるので出産は勧められない」と告げられ、子どもを産まずに生きる覚悟を決めました。 医師 美香さんは23歳の時に、2歳年上の男性と結婚。妊娠しないように必ず避妊をしていましたが、たまたまコンドームに不具合があったのか、25歳で妊娠。しかし、流産するまで妊娠には気づきませんでした。 「ある朝、急に手のひら大の血の塊がポコポコと膣から出て、血が止まらなくなりました。ナプキンをあてていても漏れてしまうので子宮筋腫かもしれないと思い、近所の産婦人科に診てもらえるか連絡したんです。」  大量の出血で顔面蒼白になりながら、電話をかけた美香さん。しかし、病院の対応は冷たいもので「出産ではないなら、うちではなくて大きな病院に行った方がいいんじゃないですかね」と断られてしまいました。  その日はあいにく、休日。地元の大きな病院は様々な患者さんが押し寄せるため、休日の緊急外来で診てもらおうとすると膨大な待ち時間が…。少しでも早く見てもらいたいと思い頼った産婦人科から予想外の言葉を返され、美香さんは大きなショックを受けました。 「まるで、産めない人はお呼びでないとでも言いたげな病院の対応は胸に刺さりました。婦人科を謳っている以上、どんな女性の味方でもあってほしかったです。」
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病院で泣き崩れてしまう美香さん
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