ある日突然、会社に一斉メールが出回った。それがキヨエさんと上司の不倫を暴くものだった。証拠である、キヨエさんと上司のLINEのやりとりも添付されていたそうだ。
「真っ青になりました。もちろん上司もです。お互い口裏を合わせるヒマもなく、上司は役員に呼ばれ、私も社内の倫理委員会みたいなところに呼ばれて。
上司と私のLINEのやりとりは、おそらく彼が私のスマホから抜いたんだと思います。彼は上司の奥さんにも、私たちの関係をバラしたんですよ」

事実を否定はできなかった。もちろん、不倫は社内的にはアウト。世間的にもアウトだろうが、暴いた彼に罪はないのだろうか。
「何の言い訳もできないまま、彼は家族とともに遠方へ転勤になりました。私はいづらくなって退職。社内のつながりで別の会社を紹介してくれた方がいて、なんとか仕事は続けることができましたが。
一方の彼はしばらく会社にいました。私のところには最後に、『オレを裏切るから、こんなことになるんだ。ざまあみろ』というメッセージが届きました。でも陰で“暴露男”と呼ばれたりして、やはりいづらくなったんでしょう、1年もしないうちに辞めたそうです」
結局、誰も得をしなかった。上司は仕事のできる人間だったため、会社としても遠方に手放すのは本来はしたくないことだったはず。キヨエさんも仕事の成績はよかったため、辞職を願い出たときはひきとめる声もあったという。
自分が裏切られたとき、暴露したくなる気持ちはわかる。だが実際に「暴露」という形で復讐すると、おそらく本人としても後味が悪いのではないだろうか。
もちろん、それをも想定した上での「暴露」ではあるのだろうが……。プライベートと仕事を、どこまで分けて考えられるか。そこにその人となりが表れそうではある。
<文/亀山早苗>
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