
写真はイメージです(以下同)
次は、ある夏に出張ついでに浜名湖に一人旅をした桜さん(30)の話です。
「私はその日、普通のビジネスホテルに泊まっていました。夜は疲れもあって早めに寝たのですが、多分2時頃かな。
廊下から『バタバタ』という子供の足音のような音と、かすかな笑い声が聞こえてきたんです」
最初は桜さんも、夜中に子供が騒いでいるのかなあと思い、あまり気に留めなかったそうです。しかし翌日の夜は、なんと足音にプラスして
『ドンドンドン』とドアを叩く音も追加されたそうです。
「さすがに迷惑だし、いたずらにしては許せません。翌朝困ったので、私はフロントに事の経緯を報告しに行きました。そしたらスタッフの方は『え?!』という顔をしたと思ったら、『
確認します』と言って、奥に引っ込んでしまいました」
その後桜さんには『
厳重に注意します』と伝えられ、さらに
お詫びとして広い部屋への交換を提案されたそうです。残り泊数もそんななかったので、彼女は「そこまで?」と思ったそうですが、まあ迷惑行為がなくなるなら良いかと思い快諾。
荷造りをして部屋を出る前に、壁にかかった絵を何の気なしに裏返したそう。
「
テレビで見るようなお札(ふだ)が何十枚も張られていたんですよ。さすがにゾワーとしました。それ以降、ホテルに入ったらまずベッドの裏と絵画の裏はチェックするようにします」
ドラマのような本当の話。
一人旅は道中色々あるものですが、ぎゃーと叫ぶような恐怖体験もまた思い出です。あなたは今年、どんな思い出を作りますか。
―シリーズ「
怪談・ゾッとする話/不思議な話」―
<文/しおえり真生 イラスト/真船佳奈>