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トランスジェンダーの超絶美人モデルが、有名下着ブランドの顔に大抜擢

 ここ数年、人気と知名度がめきめき上昇しているモデルのヴァレンティナ・サンパイオ。つい最近では、あの高級下着ブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」(以下、VS)のモデルとしても起用され、話題となった。  整った顔立ちと完璧美ボディを持つヴァレンティナ。どこからどう見ても美人モデルだが、VSや他の女性モデルたちとは異なる特徴があることにお気づきだろうか?
ヴァレンティナ・サンパイオ

ヴァレンティナ・サンパイオ

 ブラジル出身のヴァレンティナは現在22歳。男性としてこの世に生を受けた。だが、幼いころから「自分はいつも女の子だった」とヴァレンティナは語る。そしてごく自然に、周囲からも女の子として扱われていたというヴァレンティナは、女性として人生を歩み、夢であったモデルの道を歩むことに。  だが、2014年には、初仕事だった洋服ブランドのモデルをクビになってしまう。ヴァレンティナがトランスジェンダーであることが理由だったという。 「モデルとしてその場にいることが間違っているような気になった」と感じたと語るヴァレンティナだが、この苦境にめげず、故郷からも離れてサンパウロでチャンスをつかむ。  2016年よりロレアルの顔となったヴァレンティナは、ブラジル版『ELLE』の表紙を飾るなど、モデルとして頭角を現すように。そして、2017年には一流ファッション誌『VOGUE PARIS』の表紙に登場し、世界のメディアの注目を集めた。トランスジェンダーのモデルが『VOGUE PARIS』の表紙を飾るのは史上初だったという。
 ヴァレンティナを表紙に起用したことで称賛を浴びた仏ヴォーグ誌。同誌の編集長はこう語っている。 「彼女ようなトランスジェンダーのモデルたちが、ファッション界に大きな変化をもたらし、偏見などをなくしていくことを誇りに思っています」

「トランスジェンダーは起用しない」と言っていたVSもついに!

 そんな中、VSのマーケティング最高責任者が、ショーにトランスセクシャルのモデルを起用するべきではないと発言。ヴォーグ誌とのインタビューでこう語った。 「なぜかって? あのショーはファンタジーだからです。42分間の特別なエンターテインメントなのです。それだけです」  しかし、このコメントに批判が殺到したため、のちにVS公式ツイッターで謝罪。その際、トランスジェンダーのモデル起用についても言及していた。 「ヴィクトリアズ・シークレットのショーにトランスジェンダーモデルを含めるかについての私の見解は配慮に欠けていました。謝ります」 「トランスジェンダーのモデルがショーに登場することは確実です」  そして今回、ヴァレンティナはVSの「ピンク」コレクションのキャンペーンの顔に起用された。VS初のトランスジェンダーモデルとなったヴァレンティナは、インスタグラムにて撮影舞台裏の画像や動画を投稿し、「自分の夢を諦めないで」とファンらを鼓舞した。
 そこには、同じくトランスジェンダーの俳優で活動家のラヴァーン・コックスがお祝いのコメントを残している。他にも、同じブラジル出身でVSのエンジェルでもあるライス・リベイロが「Vs初のトランスジェンダーとの撮影! 本当に嬉しい!」とツイートしている。  ちなみに、今年はVSのファッションショーが開催されないという見方が優勢。だとすると、今年のVSショーでヴァレンティナの姿を見ることはできないが、今の流れでいけば来年以降の出演に期待がかかる。

ブラジルは、殺害されるトランスジェンダーの数が世界最多

 両親や周囲の人々から女の子として扱ってもらったというヴァレンティナだが、実際のところ、ブラジルにおけるLGBTを取り巻く環境は過酷だという。  LGBTに対する根強い偏見が残るブラジルでは、多くのトランスジェンダーの人たちが家を追い出されてホームレスになるとか、職場で差別されて行き場を失うなど、実状は厳しい。  また、投石や殴られるなどといった襲撃を受けることも多く、殺害される場合もあるという。ブラジルはLGBT人口が多い国の1つである一方で、殺害されるトランスジェンダーの数が世界で最も多い国の1つでもあるとされている。ある人権団体の調査によると、2016年に殺害されたトランスジェンダーの数は144人2008年には57人だったことを考えると、むしろ増加していることがわかる。
 こうした厳しい状況のなか、トランスジェンダーのモデルとして自ら道を切り開いてきたヴァレンティナ。過去のインタビューでは「より良き世界のために闘いたい」と語っていたという。 <文/BANG SHOWBIZ、女子SPA!編集部>
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